株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、現在施工中の首都高速道路「中央環状品川線大井地区トンネル工事」で、往路掘進していたシールド機を折り返し地点の大井北換気所に無事到達させました。今後、シールド機をUターンさせて復路掘進を開始し、来年3月に地上に到達予定です。当トンネル工事では、他社に先駆けて開発・実用化した、地上発進・地上到達を可能にする「URUP(ユーラップ)工法」および鋼繊維を混入したコンクリートセグメント「高機能SFRCセグメント」が採用されています。これらの技術は、その有効性を評価され、実プロジェクトへの適用数が着実に増加しています。
中央環状品川線大井地区トンネル工事は、橋梁構造の高速湾岸線と大深度トンネル構造の中央環状品川線を接続する工事で、橋梁部・開削部・トンネル部・大井北換気所(下部工)を構築します。
そのうちトンネル部で、URUP工法が採用され、実工事適用第一号となりました。シールド外径の直径が13.6mの国内最大級の泥土圧シールドの施工となりましたが、平成22年3月に発進以来、小土被り区間の地表面への影響もなく順調に掘進し、平成22年11月に折り返し地点である大井北換気所の立坑に無事到達しました。今後は、立坑にて約1,500トンにもなるシールド機を方向転換させる工程と、上下線の高低差約10mをジャッキアップさせる工程を経て、地上到達までの復路掘進開始となります。
URUP工法は、シールドを地上から直接発進させ、トンネル区間を小土被りで掘進し、再び地上に到達させる新しいシールド工法で、平成15年に開発に着手しました。従来の発進・到達に必要となる立坑の大規模な準備工事が不要なことから、工期を従来の3分の1に短縮できます。また、断面形状を自由に選択でき、構造物に必要な断面のみを掘削するため、掘削土量を削減できます。そのため、工事に起因する渋滞の低減、ダンプトラックなどの工事車両の低減、これらの効果であるCO2排出量を低減できる点などが評価され、施工中を含め4現場で適用されています。(参考:表-1 URUP工法施工実績)
高機能SFRCセグメントは、鋼繊維を混入し、自己充填性を有する高流動コンクリートを用いて製作するコンクリートセグメントで、平成17年に初めて首都高中央環状新宿線の現場に採用されました。均等に分散した鋼繊維によりひび割れを抑制し、コンクリートの剥落が防止できるため、トンネルの耐久性が向上し、供用中の安全な走行が確保できる点などが評価されています。国内の実工事への適用は、大林組の実績が唯一で、施工中を含め5現場で適用されており、完成後の組立延長実績は12,000mを超えます。(参考:表-2 高機能SFRCセグメント施工実績)
大林組は、シールド技術において工事期間の短縮や発生土削減による環境負荷の低減、供用後の安全な運用確保に寄与しており、今後も先駆的な技術を提案していきます。
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