地震後の建物の損傷度合いを検知する安価な構造ヘルスモニタリングシステムを開発

導入コストを従来の十分の一に低減

プレスリリース

株式会社大林組
日本電気株式会社
株式会社ジャスト

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)、日本電気株式会社(以下 NEC 本社:東京都港区、社長:遠藤信博)と株式会社ジャスト(以下 ジャスト 本社:神奈川県横浜市青葉区、社長:安藤純二)は共同で、地震後の建物の損傷度合いを検知する安価で設置が容易な構造ヘルスモニタリングシステムを開発し、NEC玉川事業場60号館やジャスト本社ビルに設置しモニタリング実証試験を開始しました。

地震により建物に損傷が発生した場合、損傷箇所とその度合を迅速に確認することで、施設の復旧にかかる時間を短縮することが可能となります。構造ヘルスモニタリングシステムとは、建物内に設置したセンサで地震によるビルの揺れ具合やひずみ等のデータを収集し、異常個所を素早く確認するシステムです。国土交通省では、平成20年度から3ヵ年計画の研究プロジェクトにおいて、ヘルスモニタリングシステム技術に着目し、住宅(主にRC造マンション)の維持管理の高度化に向けた研究に取り組んでいます。

しかしながら、従来のシステムは、高感度なセンサを必要とすること、システム内を全て有線でつなぐため敷設工事が必要となること、豊富な情報を収集解析する高価なプログラムを必要とすること等によりイニシャルコストの負担が大きく、且つ、常時電力を必要とするためランニングコストの負担も有り、手軽に設置することができませんでした。

今回開発した構造ヘルスモニタリングシステムは、大林組の損傷検出・解析技術、NECの無線通信ならびに情報収集アプリケーション構築技術、ジャストのセンサ技術をあわせて共同開発したもので、鉄筋コンクリート造の建物が対象です。安価なセンサの開発や、ネットワークを無線とし敷設工事を不要とすること等で、導入コストを従来と比べ十分の一以下に低減しました。

当システムの主な特徴は以下の通りです。

  1. 地震後迅速に建物の損傷度合いが確認できる

    コンクリートがひび割れると発生する音を検出し、さらに建物の揺れの周期と大きさを組み合わせて評価することで、損傷度合いを判定する仕組みになっています。建物内に設置した多数のセンサからの情報を、「危険」、「注意」、「安全」の3段階で表示することにより、建物の損傷を迅速かつ確実に検知します。揺れの小さい地震時にも有効です。


  2. 無線のため設置が容易

    大きさが6cm×10cm、厚さ1.5cmの超小型サイズのセンサを建物規模に応じて数十個設置し、データの通信には、少ないデータ量を扱う簡便な無線規格ZigBeeを採用しました。スペースをとらない小さなセンサと無線のネットワークを利用するので設置が簡単であり、後付けも可能です。消費電力が少ないことから、電池駆動も可能です。


  3. 安価である

    開発したセンサは内蔵する演算装置(CPU)でデータを処理します。従来の処理に比べて簡易な演算で損傷度合を判定します。データの送信には安価な無線モジュールを使います。設置に要する工事費も従来の有線システムに比べて大幅に低減されるため、システム全体の構築コストは、従来に比べ十分の一以下に低減できます。

今後3社は、本実証実験によりデータを収集し、本システムの効果・有効性を確認して商用提供開始に向けて更に機能の拡充や性能強化をしていきます。本システムの提供開始時期としては、2011年9月を予定しており、一般の建物だけでなく、学校や病院のような防災拠点、橋梁や道路、ライフライン、原子力施設や重要構造物などへの敷設を提案していきます。

地震後の建物の損傷度合いを検知する安価な構造ヘルスモニタリングシステムを開発

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報第1課
TEL 03-5769-1014

NEC コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-3798-6511

ジャスト 技術部
TEL 045-911-9669

プレスリリースに記載の情報は、発表時のものです。