大林組は、トンネル覆工コンクリートのひび割れの発生を抑制し、構造物の品質および耐久性を向上させる超音波加湿養生システム「モイストキュア」を開発し、このたび、北海道開発局発注のトンネル工事において初導入しました。 近年、供用中のトンネルの覆工コンクリート剥落事故を契機として、覆工コンクリートの高品質化、高耐久性化が強く求められています。特に、新設トンネルを施工する上では、供用後の剥離・剥落の要因となるコンクリートのひび割れを如何に防ぐかが重要となります。 一般的にトンネル新設工事では、掘削中のトンネル内は温度が安定し、湿潤状態が保たれるという理由から、型枠取外し後の覆工コンクリートには特別な養生は実施されていませんでした。また、工期や経済性の観点から、養生期間を長く設けず、コンクリート打設翌日に型枠を取外すことが標準とされています。このため、掘削中の換気や貫通後の通風などの影響によって生じる、型枠取外し後のコンクリート表面の急激な乾燥や温度の降下などが、コンクリートひび割れの大きな要因となっていました。 超音波加湿養生システム「モイストキュア」は、型枠取外し後の覆工コンクリート表面に、養生シートによって外気と遮断された密閉空間を作り、この密閉空間内を超音波加湿器により高湿度の状態に維持する覆工コンクリート養生システムです。型枠取外し後の覆工コンクリートの急激な乾燥や温度降下を防止することにより、乾燥収縮ひび割れや温度ひび割れを大幅に抑制します。さらに、湿度を高めてコンクリートの水和反応(※1)を促進させることで、コンクリートの強度増進や緻密化を図り、構造物の高品質化と耐久性の向上を実現することが可能となります。 平成20年3月に現在施工中のトンネル工事現場で実証試験を行いましたが、現在に至るまでコンクリートのひび割れは発生していません。また、密閉空間内を90%以上の高い湿度に保持できるとともに、コンクリートの中心部と表面の温度差を2度程度に抑制できることを確認しました。 今後とも大林組は、社会のニーズに応える技術を開発、実用化し、安全・安心な社会資本の整備に貢献していきたいと考えています。
【工事概要】 |
|
以上 ■この件に関するお問い合わせ先 大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟 TEL 03-5769-1014 |
超音波加湿養生システム「モイストキュア」を開発し、北海道のトンネル工事に初導入
ひび割れ発生を抑制し、高品質・高耐久性のトンネル施工を実現
-
プレスリリース