剛性と耐力を高めた鉄骨コンクリート製の地中連続壁工法を開発、実用化

地中壁の構築費を最大20%~30%削減

プレスリリース

  大林組とJFEスチール(株)(本社:東京都千代田区、社長:馬田一)は共同で、地中連続壁の施工に際し、特殊な鉄骨とコンクリートだけで地中壁体を構築する「SC(鉄骨コンクリート)合成地中連続壁工法」を開発、実用化しました。従来のRC(鉄筋コンクリート)地中連続壁(以降、RC連壁)と比べ、剛性と耐力が大幅に向上するため、壁厚を薄くすることができ、地中壁の構築費を最大20%~30%程度削減することが可能となります。
このたび、大阪の下水道工事において、中間立坑の仮設土留め壁に本工法が初めて採用され、連壁工事から立坑内部の掘削までを無事完了しました。(立坑:内空幅7.5m×長さ10.2m、掘削深さ:33.2mの矩形立坑、連壁の壁厚:90cm、壁長:52.5m)

一般的に地中連続壁は、RCの地中壁体を連続して構築するもので、鉄筋カゴを建て込んだ後、コンクリートを流し込んで施工します。外部からの土圧や水圧を留めるとともに、構造壁や杭などの機能も有しているため、現在では広く採用されている工法です。
近年、都市部において再開発が頻繁に実施されていますが、隣接する建物や敷地など、用地に制約を受けるケースが多く見受けられます。従来のRC連壁を用いた場合、高い剛性や耐力が求められる施工条件下では、強度を確保するために壁を厚くすることから、狭隘な敷地での適用が困難でした。さらに、鉄筋カゴを製作するヤードが必要になるなど、狭い作業スペースでの施工を可能とする工法の開発が求められていました。

大林組とJFEスチール(株)が共同開発した「SC合成地中連続壁工法」は、フランジの内側に突起を設けたH形鋼(JグリップH)を用いて、鉄骨とコンクリートを一体化させた鋼コンクリート合成構造の地中連続壁工法です。
従来のRC連壁に比べて、剛性と耐力が大幅に向上し、壁厚を最大60cm程度薄くできることから、掘削土量や汚泥処理費の削減が図れ、地中壁の構築費を最大20%〜30%程度削減することが可能となります。また、隣接する敷地に構造物があるなどの用地に制約がある場合や、狭い作業スペースでの施工が可能となります。



【SC合成地中連続壁工法が特に有効な場合】
  • 階高の大きな地下階があり、地中壁体に通常より高い耐力が求められる場合
  • 地震時に大きな地盤変形が予想されるため、地中壁体に大きな変形性能が求められる場合
  • 掘削底面以深の地下水を遮断するため、連壁を深部まで設置する必要がある場合
  • 隣接構造物の存在等により、用地制約が厳しい場合
「SC合成地中連続壁工法」の特長は以下のとおりです。

■高い剛性と耐力を確保

特殊な鉄骨とコンクリートだけで地中壁体を構築する工法です。H形鋼のフランジの内側に突起を設けることによって、鉄骨とコンクリートを一体化させ、高剛性、高耐力を確保します。

■薄壁化により地中壁の構築費を最大20%〜30%削減

従来のRC連壁に比べ剛性と耐力が大幅に向上するため、地中壁に求められる剛性や耐力が同等の場合、従来のRC連壁の壁厚は100cm〜150cmでしたが、本工法では壁厚80cm〜90cmで対応することが可能となります。このように、薄壁化によってコンクリート量だけでなく掘削土量や汚泥処理量の削減が図れるため、地中壁の構築費を最大20%〜30%程度削減することが可能となります。さらに都市部においては、用地費削減などの効果が期待できます。
また、本工法で用いる内面突起付きH形鋼は、工場での製造過程で成形される圧延成形品であるため、鋼材を切断・溶接等の加工を施して組み立てるビルトアップ鋼材に比べて経済的です。

■鉄筋カゴの製作などが不要なため、狭い作業ヤードで施工可能

本工法では鉄筋カゴを必要とせず、また、鋼材を1本ずつ建て込むことが可能なことから、鉄筋カゴの製作等に必要なヤードの問題が解消できます。また、薄壁化により連壁の泥水プラントも縮小され、狭い作業ヤードでの施工が可能となります。


芯材建込




コンクリート打設

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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