小さな揺れから大地震までさまざまな揺れを低減するハイブリッドブレーキダンパーを開発

プレスリリース

大林組は、東京工業大学の笠井和彦教授との共同開発で、大林組がすでに開発し実用化している制振装置 ブレーキダンパー(※)と粘弾性ダンパーを組み合わせた「ハイブリッドブレーキダンパー」を開発しました。
特性の異なる2つのダンパーを組み合わせることで、風揺れのような小さな揺れから大地震時の大きな揺れまで、さまざまな揺れを大幅に低減することができます。

※ブレーキダンパー:自動車のブレーキの仕組みを応用し、ブレーキ材とステンレス鋼板の摩擦によって地震の揺れを吸収する大林組が開発した摩擦型ダンパー。すでに数多くの建物に適用されています。


近年、超高層建築物のように建物の高さが横幅に比べて非常に高い(塔状比が大きい)建物が数多く建設されています。塔状比が大きい建物は、台風や地震などの揺れに大きな影響を受けるため、さまざまな揺れに対応する制振性能が要求されます。
塔状比の大きい建物の制振性能を確保する方法としては、現在、粘性体の制振壁を用いる方法や、地震の揺れを低減する装置と風揺れを低減する制振装置を別々に組み込む方法などが採用されています。しかしこれらの方法は、建築計画上の制約となることやコストがかかることが課題となっていました。

今回開発したハイブリッドブレーキダンパーは、地震の揺れを低減するブレーキダンパーと、風揺れのような小さな揺れを低減する粘弾性ダンパーを直列に組み合わせることで、どのような揺れにも対応できる高性能な制振装置です。
柱や梁で構成される構造フレームにブレースとして組み込むことで、風揺れから地震時の揺れまで対応することができます。風揺れのような微小な揺れや中小地震の揺れには粘弾性体が変形して揺れを低減し、大地震時はブレーキダンパーが制震ブレースとして機能し、ブレーキ材と鋼板の摩擦によって揺れを吸収します。
これまで風対策用と地震対策用を別々に設置していた制振装置の台数を減らすことができるので、建築計画上の自由度が高くなるうえ、制振システムの導入にかかる費用を4割程度低減することができます。

ハイブリッドブレーキダンパーの特長は以下のとおりです。
  1. 小さな揺れから大きな揺れまで対応できます

    地震の揺れを低減するブレーキダンパーと、風揺れのような小さな揺れを低減する粘弾性ダンパーを組み合わせることで、さまざまな揺れに対応できます。このダンパーを導入することで、風揺れのような小さな揺れと地震時の大きな揺れをそれぞれ2/3程度に低減することができます。


  2. 経済的な制振装置です

    塔状比の大きい建物には従来、風揺れを低減する装置と地震用のダンパーを別々に設置するか、粘性体制振壁を用いていましたが、ハイブリッドブレーキダンパーは両方の揺れに対応できるため、制振装置の台数を減らすことができ、制振装置にかかるコストを2/3程度に低減できます。


  3. 設計の自由度が高まります

    これまで風揺れ用と地震用に別々に設置していた制振装置の台数を減らすことができるので、建築計画上の自由度が高くなります。
    ハイブリッドブレーキダンパーは形状の異なる2種類のタイプがあるので、これらを使い分けて適用することができます。
    タイプ1(図1)は、粘弾性体ダンパーとブレーキダンパーを直列に配置したタイプで、タイプ2に比べて装置の製造が容易であるため、より一層経済的であるという特長があります。
    タイプ2(図2)は、ブレーキダンパーを組込んだ鋼管の回りに粘弾性体を頒布したタイプで、幅が230mmと薄いため、狭い場所への設置が可能です。

ハイブリッドブレーキダンパーは、大林組の技術研究所や東工大の笠井研究室で試験を行い、その性能を確認しました。さらに実大モデルの試験によって製造法および設計法の妥当性の確認も行っています。大林組は今後、このハイブリッドブレーキダンパーを高層のオフィスビルや集合住宅、ペンシルビルなどに積極的に提案していきます。

タイプ1(図1)

タイプ2(図2)

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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