新方式のマンション用 生体認証鍵システム“SOMSIS GUARD”を開発

プレスリリース

大林組は、機器メーカー等4社と共同で、高級マンションやテナントビル向けの新方式のバイオメトリクス(生体認証)鍵システム“SOMSIS GUARD”を開発しました。
共同開発者は、大林組、シャープ株式会社、エス・アンド・アイ株式会社、美和ロック株式会社、日本セキュアジェネレーション株式会社の計5社で、本システムの特許を共同出願中です。

バイオメトリクス認証鍵システムは、指紋や虹彩、静脈パターンなど、人によって異なる生体的特徴を利用して本人確認を行う認証方式で、パスワードのような文字列でなく、指紋のような個人の生体的特徴を利用するため、原理的に「なりすまし」がしにくいといわれています。さらに鍵やカードを携帯する必要もなく、高セキュリティでありながら利便性にも優れているため、機密性の高い研究所やデータセンターのような施設はもちろん、マンションなどにも用いられ、利用者が増加しています。
しかし一方では、この生体データが何らかの方法で盗み出された場合、容易に解錠されてしまうという課題もあります。例えば、従来のバイオメトリクス認証鍵システムは、登録した生体データを読取機本体に内蔵したり、データサーバに集中保管しています。そのためマンションなどでは、共同玄関に設置した読取機自体が持ち去られたり、管理人室(サーバ保管室)への侵入によってデータが盗まれる可能性があります。また生体データを、通信網を用いて外部のデータセンターに保管している場合にも、通信経路からの電子的侵入を受ける危険性があります。

“SOMSIS GUARD”は指紋認証と非接触ICカードを併用した、高セキュリティで利便性の高い、高級マンションやテナントビル向けの鍵システムです。各住戸(または各オフィス)の室内に小型の認証用サーバを置き、利用者自身が手元で保管するという方式を採用しているため、サーバが盗難にあう危険性が低くなります。また、外部のデータセンターなどを利用せず、各住戸内のサーバで生体データを保管しているため、外部とのデータ通信の必要はなく、電子的侵入に対する安全性が高まります。
マンション管理会社も、認証サーバの保守管理にかかる維持コストや、データ流出事故が発生した場合の損害賠償責任など、不本意な出費を避けることができます。

個人住宅ではオフィスビルなどと違って各戸ごとに独立したセキュリティ体制が求められます。本システムは何らかのトラブルで入室できなくなった場合に、できる限り第三者の助けを借りずにその場で問題を解決できるように配慮した鍵システムです。
生体認証のみでは、停電や機器の不具合が発生した場合に入室できなくなる可能性もありますが、一方で、マスターキーや管理者権限での遠隔操作を可能にすると、これがセキュリティの抜け穴になる恐れがあります。
“SOMSIS GUARD”は生体認証による鍵システムに加えて、非接触ICカードとパスワードによる応急的な解錠手段を備えることで、どのようなトラブルが起こっても居住者が入室できる仕組みとなっています。もし、ICカードを紛失してしまった場合には、自宅内の機器を使って自らそれを無効にしてしまうこともできます。

またコスト面では、小型サーバを各戸別に分散して配置する必要があるため、100室程度のマンションへの導入を想定した場合、従来の集中認証サーバによる生体認証錠システムに比べ、機器の設置費用が15%程度増加します。しかし、高いセキュリティが求められるマンションなどにおいては、従来型の集中サーバ方式ではサーバ専用室確保に対するイニシャルコスト増、さらに、警備員の常駐、保管データの運用監視などランニングコストも必要となるため、ライフサイクルコストで見れば、従来方式と同程度になる見込みです。

大林組は、鍵を持たない高セキュリティな鍵システム”SOMSIS GUARD”を、当社の施工する高級マンションや小口テナント集合ビル等を主な対象として提案していきます。

玄関用指紋入力装置“SHC/R”および住戸内認証サーバ“SHS/R”
(同一筐体を使用)

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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