全天候型のビル建設システムと在来工法を組み合わせた複合工法でビルを建設

ビルの平面形状や面積の大きさにかかわらず適用が可能に

プレスリリース

大林組は、すでに開発、実用化している全天候型のビル建設システム「ABCS(Automated Building Construction System)」と在来工法を組み合わせて、大崎駅東口第3地区第一種市街地再開発事業1街区業務棟新築工事(施工:大林組、所在:東京都品川区)の施工を進めています。
「ABCS」による高層ビルの建設はすでに4件の実績がありますが、在来工法と併用することによって、あらゆるタイプの平面形状のビルへの適用が可能となり、汎用性が広がりました。

「ABCS」は、鉄骨造の高層建物を対象に、建設現場での作業環境の改善、機械化、自動化などを目指した工法で、大幅な省力化と高い生産性や安全性を実現し、高品質の建物を提供する次世代のビル建設システムです。先行して設置するファクトリー部分が作業空間を覆うので、季節や天候に左右されずに作業を進めることができます。ファクトリー内に設置した多機能天井クレーンや大型高速リフトなどを用いて1フロアを施工した後にファクトリー全体をクライミングして上部階を施工します。この工程を繰り返してビルを建設していきます。

今回の工事では、基準階床面積 約3,600m2のうち、1/3に当たるセンターコア部分(約1,200m2)の鉄骨工事、設備ユニット工事、床工事などを「ABCS」で施工しました。また、センターコアの周辺部分は、ファクトリー上部に設置した中型の走行式クレーンを用い、在来工法で工事を行いました。ビルのセンターコアは、使用する部材の種類が多く作業量も多いうえ、エレベーターシャフトの開口部が集中しているため、在来の工法では作業の工程が天候に大きく影響を受けてしまいます。「ABCS」は、全天候型の施工システムであり、雨天でも安定した品質と工程を確保することができるため、センターコア部分の施工に適した工法と言えます。

今回、採用した「複合工法」の特長は次のとおりです。
  1. 高い生産性により、施工スピードをアップ

    在来工法では通常、大型のタワークレーンを2~3台用いて工事を行いますが、今回の工法では、「ABCS」のファクトリー内部に設置した多機能天井クレーン3台と、上部に搭載した中型の走行式クレーン2台で施工を行います。多くの作業を同時並行で進めることができるので、施工スピードが向上します。当現場では、5日間で1フロアの施工を実現しています。


  2. 仕上げ工事の早期着手が可能

    「ABCS」では、柱や梁の鉄骨を建込み、床のデッキプレートを施工してから上部フロアの施工に移ります。上部階で同様の工程を進めながら、同時に直下階で床のコンクリート打設などを行います。早期に仕上げ工事の工程に着手できるので、施工の効率化を図ることができます。


  3. 作業時の安全性が向上

    センターコア部は、「ABCS」によって、1フロアを施工した後に屋根をクライミングし、次のフロアを施工していきます。周囲の事務室部もセンターコア部に合わせて1フロアずつ施工することにより、高所作業が大幅に減少し、作業時の安全性が向上します。


  4. 揚重システムの有効利用による省力化の実現

    「ABCS」の揚重システムである大型高速リフト(積載13t)は鉄骨の揚重以外に、外装カーテンウォールや大型設備ユニット等の揚重に活用できます。多くの資機材を一度に運搬したり、大きなユニットをそのまま揚重できるので、仕上工事や設備工事の省力化も図れます。

これまでは、主に平面形状が長方形の板状高層ビルに「ABCS」を用いてきましたが、在来工法と組み合わせることで、平面形状や面積の大きさにかかわらず「ABCS」を採用することができるようになりました。今後、適用範囲が広がった「ABCS」を積極的に提案し、作業環境の向上と工事の省力化、工期の短縮を目指していきます。

工事概要
 工事名称:大崎駅東口第3地区第一種市街地再開発事業
      1街区業務棟新築工事
 施工場所:東京都品川区大崎
 発 注 者:大崎駅東口第3地区市街地再開発組合
 設  計:(株)大林組
 監  理:(株)日本設計
 施  工:(株)大林組
 工  期:2004年10月1日~2006年12月28日
 工事概要:地上22階、地下1階、塔屋1階、
      延床面積82,451m2
      建物高さ(最高部)99.00m



ABCS部 外観




ABCS部 内観



以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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