大林組は、建物竣工時の排水配管設備の検査にICタグを用いることで通水検査を大幅に効率化できる「ICタグ排水通水試験システム」を開発しました。ICタグをつけた試験体を活用することで、配管の不良接続などの健全性を効率的にチェックすることができ、検査時間の大幅な短縮と検査精度の向上を実現します。 排水の通水試験は、設備工事における重要な検査項目のひとつであり、配管の接続部や傾きに不具合がないかを確認するために実施します。この検査は通常、配管の上流側と下流側に複数の検査員を配置し、ボールなどの試験体を水と一緒に流して、下流まで何分で到達するかを確認することで、配管の健全性をチェックするものです。検査員がストップウォッチを用い携帯電話で連絡を取り合いながら、たくさんの配管について手作業で実施するため、検査には膨大な時間と手間がかかります。例えば、大規模なマンションになると、配管の系統が100以上に上るケースがあり、終了まで丸一日を要することもあります。検査には発注者の方に立ち会っていただくこともあるため、検査に要する労力を低減し、検査時間を短縮する方法が求められていました。 「ICタグ排水通水試験システム」は、ICタグをつけた試験体を水と一緒に配管に流してその健全性を確認するものです。連続してICタグのデータを読み取って一度に沢山の試験体を流すことができるので、検査時間を大幅に短縮できます。また従来、手作業で行っていた煩雑な作業をシステム化しているので、検査精度が向上します。 試験体には、プラスチック製のボールや手ぬぐいなどを使用します。ICタグは試験体の素材や水が通信性能に与える影響を考慮して、試験体の種類別に仕様を定めているため、どの試験体でも安定したデータの読み書きが可能です。 データの読み書きには、大林組がすでに開発、実用化している、PDA(携帯情報端末)用の施工管理システム「GLYPHSHOT(グリフショット)(※1)」を活用します。まずGLYPHSHOTで、PDA内にビルの平面図と配管の系統図を取り込み、PDAにICタグの読み書き装置「リーダ/ライタ」をつけておきます。上流側のPDAで配管の位置や時刻などのデータをICタグに書込んで試験体を流します。下流側のPDAで到達した試験体のデータを読み取ると、排水時間などをPDAの画面に表示します。全ての配管の検査が完了したら、上流側と下流側のPDAのデータをパソコンに取り込み、検査結果のデータを統合し、検査報告書を自動作成します。 「ICタグ排水通水試験システム」の特長は下記の通りです。
現在当社では、PDAに接続したリーダ/ライタを用いて配管の外側から試験体を探すことができるかという実験を行っており、将来的には、途中で試験体が詰まってもその不具合箇所を効率的に探して補修することが可能になります。 大林組は、今後もICタグやPDAを建築の工事管理に積極的に活用し、施工の効率化および検査精度の向上を目指していきます。 以上
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■この件に関するお問い合わせ先 大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟 TEL 03-5769-1014 |
ICタグを利用した配管設備の検査システムを開発
配管検査の業務を大幅に効率化するとともに、検査の精度を向上させます
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プレスリリース