地下立体交差の急速施工法「URUP工法」の実証実験を公開

地上発進・地上到達を実現する初めての工法がいよいよ実用化

プレスリリース

大林組は、交差点の地下立体交差(アンダーパス)を従来の1/3の工期で急速施工する「URUP(ユーラップ/Ultra Rapid UnderPass)工法」の実験用マシンを製作し、平成16年11月より大林組技術研究所(東京都清瀬市)の敷地内で、実際にトンネルを掘削する実証実験を行っています。実証実験は順調に進捗しており、現在、全長約100mのトンネルうち約半分まで掘削が進んでいます。3月下旬には実験が完了する予定です。

都市部では、交通渋滞によって、物流の遅延や緊急車両の通行の妨げ、車両による移動時間の増加など多くの課題が生じており、また排気ガスによる大気汚染も大きな問題となっています。交通渋滞を緩和するためには交差点の立体交差化が有効ですが、従来は工期が長期間にわたっていたため、工事によって二次的な交通渋滞が発生していました。
地下立体交差を開削工法で構築する場合には、広範囲にわたる道路占用や3年程度の長い工事期間を必要とし、さらに杭打による騒音、振動などが長期間にわたるため、周辺環境にも影響を与えていました。また、交差点部を非開削で施工する場合でも、入口側と到達側に立坑を構築してそれぞれの間をつなぐ方法であったため、アプローチ部とトンネル部を別々に構築する必要があり、大幅な工期短縮は得られずコスト面でも割高となっていました。

URUP工法は、このような課題を解決する画期的な工法です。小型の四角いシールド機を縦横に配列して連結した「マトリックスシールド」で、地表からそのままトンネルを掘り進め、交差点部を開削することなく地下立体交差を施工し、そのまま地表に到達できます。シールド機で掘削する際に通常必要となる立坑などの大規模な準備工事が不要なので、従来3年程度を必要としていた工期を、1/3の約10ヵ月程度で施工が可能です。さらにこの工法は、交差点部の占有が不要で工期も短いので工事に伴う交通渋滞を低減できるとともに、立坑の構築が不要なので、騒音、振動も大幅に軽減することが可能です。

このたび実施している実証実験の概要は次の通りです。

・場所:大林組技術研究所内(東京都清瀬市下清戸4-640)
 ・工期:平成16年11月~平成17年3月末
 ・工事概要
   施工延長     :102.4m
   トンネル内空断面 :幅 4,456mm × 高 1,806mm
   土被り      : 0~2.2m
   最大勾配     :±10.0%
 ・シールド機の形状等
   寸法:幅4.8m×高さ2.15m、全長5.65m
   形状:カッターヘッド横二連式、矩形、側部カッター両側装備 幅205mm
   シールド形式:泥土圧
   方向制御機構:上下左右中折れ装置、可動式そり、コピーカッター装備

「URUP工法」の特長は次の通りです。
  1. 工期は従来の1/3

    地上部より掘り進めることができる特殊なシールド機を用いているため、立坑の構築が不要となり、従来の1/3という超短工期で地下立体交差を施工できます。また複数の小型の矩形シールドを現場に搬入し、掘削断面の大きさに応じて作業帯の中で連結するだけなので、現場でのシールド機の組み立てや解体作業が容易です。


  2. 工事による二次的な渋滞を最小限に抑制

    交差点部を占有せず、しかも超短期間で地下立体交差を施工するので、工事による交通渋滞を最小限に抑えます。


  3. 騒音、振動を低減し建設発生土も抑制

    発進立坑や到達立坑を構築する必要がないため、側壁の崩落を防ぐための杭打ちなどが不要です。これにより騒音や振動を大幅に低減することができます。さらに従来工法に比べ、掘削土量を低減できるので、建設発生土を抑制した環境にやさしい工法です。


  4. 低土被りで施工可能

    地表に近い層に大断面のシールド機を用いると、トンネル上部の地盤に影響が出るため、従来はシールド工法を用いることは困難でした。マトリックスシールドは、配列した小型の矩形シールドが同時に掘り進むのではなく、それぞれが独立して稼動し個々に掘進するので、トンネル上部の地盤への影響が少なく、低土被りでの施工が可能です。


  5. 小型のシールド機を掘削断面に合わせて自由に連結でき、転用も可能

    小型の四角いシールド機を、縦・横に配列した構造なので、構築する地下立体交差の道路幅に合わせて自由に組み合わせることができ、様々な用途や規模に適用可能です。さらに、掘削後に直接地上に到達するので現場から容易に搬出でき、シールド機の転用が容易です。


実証実験は3月まで続きますが、現在までの実験で下記の確認を行うことができました。
  • 地上からシールド機が発進し、斜めにトンネルを掘り進めることができること

  • 低土被りで施工しても上部地盤に影響を与えないこと

  • 低騒音・低振動で施工できることこと

  • アプローチ部を施工する際に側方地盤に影響を与えないこと

  • 掘進速度が計画通りで急速施工が可能であること

大林組は、実証実験完了後に、今回の実績をもとに、超短工期で立体交差を構築できるこの工法を積極的に提案し、交通渋滞の緩和と交通利便性の向上に貢献していきます。

従来工法

- 従来工法 -


URUP工法

- URUP工法 -

 
以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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