光硬化型FRPシートによる防食防水技術「Qu2(キューキュー)工法」を開発・実用化

光で硬化するシートで、雑排水処理施設の内側を早く簡単に保護できます

プレスリリース

大林組は、旭化成ジオテック(株)(本社:東京都墨田区,社長:嶋崎康)と共同で、光硬化型FRP(ガラス繊維強化プラスチック)シートを用いた防食・防水技術「キューキューQu2工法」(特許出願中)を開発し、雑排水処理施設等を対象として実用化しました。防水機能と防食機能をもったFRPシートを紫外線照射で接着・硬化させるだけなので、従来工法の半分程度の工程数で施工できます。
この工法は、新築工事だけでなく補修・改修工事にも適用が可能です。このたび既存建物の地下汚水槽への改修工事にあたり、この工法を初めて採用しました。

従来、建築物の雑排水処理施設は、建物の外部に併設して設けられていましたが、近年は土地を有効活用するため、建物の地下階の床下空間(ピット)を処理施設に利用するケースが増加しています。しかし、雑排水からは硫化水素が発生しやすく、躯体コンクリートを保護するためには、外部への漏水を防ぐ防水性に加えて、硫酸による腐食から保護する防食性が求められます。
現在、雑排水ピットの保護には、ケイ酸質系、ポリマーセメント系、あるいはFRP系の素材を用いた工法が使用されていますが、いずれも防水層を塗布した後、その上面に防食層を施工しなければならず、長い工期を要していました。

この度実用化した工法は、防水機能と防食機能を有するビニルエステル樹脂を複層した特殊なFRPシートによって雑排水ピットの内面を保護する工法です。シートをコンクリート面にあて、約20分間、紫外線を照射するだけで簡単に下地に接着・硬化するので、従来の工法の半分程度の工程数で施工することができます。また、新築工事だけでなく既存建物の補修・改修工事にも適用できます。

今回、実用化した工法の特長は次の通りです。
  1. 防水機能と防食機能が備わった特殊なシートを使用

    FRPシートは、ガラス繊維をシート状にしたガラスマットに、防水用と防食用のビニルエステル樹脂をそれぞれ含ませて形成しています。施工の際は、1枚のFRPシートを貼り付けるだけなので、簡単に防食・防水化することができます。


  2. 短工期で施工が可能

    従来のFRPによる防水は、現場で防水用と防食用の樹脂を使い分けて塗り、ガラスマットを敷設していたため10程度の作業工程が必要でした。新しい工法は、防水用樹脂と防食用樹脂を複層したFRPシートをコンクリート下地面にあて、約20分間紫外線を照射するだけで接着・硬化するので、4工程程度で施工できます。また、防水・防食にかかるコストは、他のFRP防水と同程度です。


  3. 低臭気なので作業環境が向上

    従来のFRPによる防水は樹脂を現場で塗布するため、建物地下ピット等の閉塞空間では溶剤臭がきつく作業環境の悪化が課題でした。この工法では、あらかじめシート状にしたものを用いるので、閉塞空間においても低臭気で施工することができます。


  4. 壁面や天井面への施工が容易

    現場で樹脂を塗布する従来の工法では、天井面などへの施工が難しく、樹脂だれがおきるケースも多くありましたが、この工法ではFRPシートを用いるので、壁面や天井面への施工が容易です。


大林組はこの工法を、建物地下雑排水ピット等の防食・防水工法として積極的に提案するとともに、FRPシートを旭化成ジオテックを通じて外販いたします。また今後は、建物屋上の防水用途にも応用するなど、用途の拡大を目指していきます。

FRPシート(半透明のもの)

FRPシートによる防食防水層の断面構成

以上

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