コンクリートの斜面を短工期、ローコストで緑化します

樹木を植栽する「チップクリート緑化工法」を開発、実用化

プレスリリース

大林組は、土地造成などに伴って発生する伐採材とセメントミルクを混合したチップクリート(※1)を植生基盤に用いることで、コンクリート面を樹木でも簡易に緑化できる工法を、フリー工業株式会社(本社、東京都台東区、社長:長岡信玄)と共同で開発、実用化しました。
日本道路公団発注の「中央自動車道八王子ジャンクション中工事」(東京都八王子市)工区内のコンクリート面に初めて適用し、植物の生育状況などの実証試験を行っています。

※1 チップクリート:木材を5~30o程度に破砕したチップをセメントミルクと混合し、固化させたもの。これを用いた緑化工法は、国が指定するグリーン調達品目において「伐採材及び建設発生土を活用した法面緑化工法」に認定されています


近年、自然的な景観の創出やCO2の削減などのために、道路や造成地の斜面を緑化する方法が注目されています。特に最近では、高速道路などの斜面において、緑化が可能な斜面安定対策工が積極的に採用されています。なかでも、山間部に建設される高速道路などでは、もとの景観に近づけるために、草ではなく、低木などの樹木による緑化へのニーズが高まっています。
樹木を定着させるには大容量の土が必要となりますが、用地の制約などのため、斜面を急勾配にせざるを得ないケースがあります。このような斜面を樹木で緑化するには、高価で大型のコンクリート製緑化ブロックや、緑化のための特殊なのり枠などを使用して植生棚を設置しなければならず、経済的な緑化工法の開発が望まれていました。

大林組は、伐採材やセメントを含んだ排泥土などの建設副産物を、自然創出の資源として有効利用する技術開発を積極的に行っています。既に強酸性土壌の斜面でも緑化が可能な「チップクリート緑化工法」や、強アルカリ性のセメント排泥土を緑化可能な土に再生する技術、建設発生土の緑化利用技術などを開発、実用化し、各種の工事において豊富な実積があります。
今回、開発した樹木植栽方式によるチップクリート緑化工法は、建設工事現場で発生する伐採材とセメントミルクを混合したチップクリート層をコンクリート面に吹付け、その上に植生基盤を敷設することで、コンクリート面でも、早期に、低コストで、低木などによる永続的な緑化を実現するものです。
2003年3月、「中央自動車道八王子ジャンクション中工事」工区内において、傾斜した擁壁面に初めて適用し、植物の生育状況などを実証する試験を開始しました。乾燥が激しいコンクリート面を早期に緑化するため、苗を移植する植生棚を設置し、保水性を改善する対策を施すことで、コンクリート面でも植物が健全に生育することを確認しました。

今回開発、実用化した樹木植栽方式による「チップクリート緑化工法」の特長は次のとおりです。
  1. 乾燥の激しいコンクリート斜面を低木で永続的に緑化できます
    苗木を移植できるように簡易な植生棚を設置して、樹木を栽培します。植生棚の下位に設けたチップクリート層には連続した空隙があるので、植物の根が伸長できる空間が確保されています。チップクリートと薄層の生育基盤、簡易な植生棚を組合わせることで大型の緑化ブロックを設置するのと同程度の生長が期待できます。

  2. 早期に、低コストで施工できます
    特殊な機械や材料を用いることなく、一般的なモルタル吹付け機で施工できます。高所や急傾斜斜面でも施工が可能なうえ、大面積にも対応でき、短期間かつ低コストで施工することができます。

  3. 継続して緑の景観を保持します
    セメントミルクでコーティングされたチップクリートが、植物を安定して斜面に固定します。また、チップクリート層には特殊な保水層を設けているので、乾燥が激しい夏期でも生育が可能です。

  4. 伐採材をリサイクルします
    土地造成工事で発生する木材チップを利用し、付加価値の高い緑化基盤を作るので、伐採材をリサイクル資源として有効に利用できます。

  5. 国のグリーン調達品に認定されました
    平成15年度から特定調達品目に加えれられた「伐採材及び建設発生土を活用した法面緑化工法」に適合した工法として認定されています。

今後、大林組は、今回開発したコンクリート面の緑化技術や、既に実用化している緑化技術を積極的に提案していきます。また、伐採材などの有機系資材の有効活用技術や、低コストな緑化技術の開発を積極的に進め、景観やリサイクル率の向上など生態系や自然の循環に配慮した緑の環境創造への貢献を目指します。


以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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