建設発生土をローコスト、短期間で再生!

強アルカリ性排土を緑化可能な土に再生する技術を開発、実用化

プレスリリース

大林組は、強アルカリ性のためにこれまで緑化が困難とされていた、セメントを使用した地盤改良による排土を、ローコストで、かつ短期間に、緑化可能な土に再生する技術を開発、実用化しました。再生した土を用いた緑化実験では、植物の順調な生育を確認しました。

セメントを含まない建設発生土は、リサイクル法が施行された後、資源としての再利用化が進んでいます。しかし、セメントを含んだ排土(土や泥)は、植生に適さない高アルカリ性の土になる場合がほとんどです。このようなセメント排土は、土木工事の補助材料としてそのまま利用されることはありますが、改良効果に優れた経済的な方法がないため、緑農地に利用されることはほとんどありませんでした。建設発生土の更なる有効利用のために、ローコストの土壌再生技術の開発が望まれていました。

今回開発した強アルカリ性排土を緑化可能な土に再生する技術は、空気中の二酸化炭素と、一般的な肥料から特別に選別したものを用いて、土壌を改良するものです。改良には特殊な機械や化学薬品などを使用しないので、ローコストで行うことができ、安全性も確保しています。改良に要する期間は約1週間と短期で、作業もごく短時間で完了することができます。さらに改良された土壌には肥料により豊富な栄養分が含まれているため、植物の生育を持続する効果も期待できます。2002年6月から沖縄の某所において、再生土壌を用いた緑化実証試験を行っていますが、植物の良好な成長経過を確認しています。

排土の再生の工程は次のとおりです。
1 排土をふるいにかけ細粒化(約20mm)する。(ばっ気 1回目)
2 空気に良く触れさせながら、均等の厚さに均し置く。(ばっ気 2回目)
3 肥料を撒き、バックホウやトラクタなどで攪拌する。(ばっ気 3回目)

今回開発した強アルカリ性排土の再生技術の特長は、次のとおりです。
  1. 強アルカリ性排土を緑化に利用することができます
    従来難しかった強アルカリ性の地盤改良排土を植物の生育が可能な健全な土壌に改良することができます。

  2. 低コストで土壌を再生することができます
    土の改良には、バックホウやトラック、トラクタなどを使用し、特殊な施工機械を必要としません。また、空気中の二酸化炭素と選別した肥料を用いるだけなので、ローコストで、強アルカリ性排土を緑化可能な健全な土へ再生できます。改良コストは、廃棄処分するための費用(運搬費、処分費)より安くなります。

  3. 短期間で土壌を再生します
    一般肥料を選別して用いることで、改良期間を短縮しています。また、改良のための作業は非常に短時間で済みます。

  4. 産業廃棄物を削減します
    改良土は、植物を栽培する土壌として利用できることから、廃棄処分される建設発生土や、汚泥として処分される産業廃棄物を削減できます。

  5. 緑の景観を持続します
    改良土は、カルシウム、カリウム、マグネシウム、イオウ、リン酸などの肥料成分を含むため、植物の栄養素を供給し、継続して緑の景観を保持することができます。一方、良質な土壌が入手困難な場所では、購入客土が不要になり、自然や資源の保護に役立ちます。

大林組は、これまで数多くの工事において、建設副産物の発生低減や発生物の有効利用を行ってきました。一方、緑化関連分野においては、ビオトープ、ワイルドフラワー工法、チップクリート緑化工法など環境緑化ニーズに対応した研究・開発を進めてきました。
今後、大林組は、強アルカリ性排土を緑化可能な土に再生する技術を活用して、建設発生土の有効利用を図り、さらに自然の循環に配慮した緑の環境創造へ貢献します。

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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