粘弾性体を利用した間柱型の制振装置「粘弾性カラムダンパー」を初適用

風に対する揺れを40%低減、耐震性能も向上 品川グランドコモンズの超高層賃貸住宅棟「ストーリア品川」へ初めて適用しました

プレスリリース

大林組は、自社で開発した、粘弾性体を利用した設計自由度の高い間柱型の制振装置「粘弾性カラムダンパー」を、品川グランドコモンズに位置する超高層賃貸住宅棟「ストーリア品川」(地上31階、高さ97.9m)へ初めて適用しました。

超高層建築物は、風揺れから地震による揺れにいたるまでさまざまな揺れに対する制振性能が要求されます。建物の高さと幅の比率(塔状比)が大きい建物の制振性能を確保する一つの方法としては、建物の躯体にブレースダンパー(筋違い型制振装置)を設置する方法がありますが、ブレースダンパーを設置する柱と梁で囲まれたフレーム部分にはドアや開口部を自由に設けることができず、平面計画上の制約となることがありました。

大林組が開発した制振装置「粘弾性カラムダンパー」は上下の梁と梁の間に設置する間柱型ダンパーです。ダンパー部分は鋼板と鋼板の間に新しく開発された薄い粘弾性体(ゴム)を挟み、鋼板を交互に上と下の躯体に設置した形をしており、この粘弾性体が建物の変形エネルギーを吸収し、建物の揺れを抑えます。梁と梁の間に間柱型で設置するので、柱と梁で囲まれたフレーム部分にドアや開口部を容易に設置することができます。

今回、「粘弾性カラムダンパー」を初めて適用したのは、品川グランドコモンズに位置する超高層賃貸住宅棟「ストーリア品川」です。当建物は塔状比が5.4と高く、住宅棟なので特に風に対する居住性を改善する必要がありました。今回、「粘弾性カラムダンパー」を各階に5台づつ設置することで、風に対する揺れが40%低減でき、耐震性能も向上しています(当社試算)。また、ブレース型でなく間柱型に設置できるので、住戸計画に影響はありませんでした。

「粘弾性カラムダンパー」の特長は次のとおりです。
  1. 風揺れから地震まで様々な揺れを効果的に抑えます
    制振装置に使用する新しい粘弾性体は、微小変形(歪み1%)から大変形(歪み200%)までの性能確認がされています。
    適用する建物の構造や規模、また適用方法により異なりますが、風揺れから地震まで様々な揺れを2/3程度に抑えることができます。

  2. 平面計画上の制約が少なく、設計自由度が増します
    上下の梁と梁の間に設置する間柱型なので、梁と柱に囲まれたフレーム部分にドアや開口部を設置でき、平面計画上の制約を少なくできます。
    また、温度依存度が低いので温度変化を受けやすい建物の外周部にも設置できます。

  3. 鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のいずれの建物にも適用できます

  4. 新築建物のほか、既存建物の内部補強、外部補強にも適用でき、しかもメンテナンスフリーです

今後、大林組では、「粘弾性カラムダンパー」を超高層集合住宅だけではなく、オフィスビルや一般集合住宅にも提案し、さらに既存建物への耐震補強にも積極的に提案して行きます。

粘弾性カラムダンパー

ストーリア品川

以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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