シールドマシンのカッタービットの交換時間を大幅に短縮

「テレスポークビット工法」を初適用

プレスリリース

大林組は、三菱重工業(株) (本社:東京都千代田区、社長:西岡喬)と共同開発した、シールドマシンのカッタービットをシールド機内部で何度でも迅速に交換できる「テレスポークビット工法」(国土交通省の公共工事における技術活用システムに選定されています。NETIS登録番号KT-010148)を、名古屋市緑政土木局発注の「小田井貯留管築造工事(その2)」に初めて適用しました。従来の手作業によるビット交換に比べ、交換時間の大幅な短縮を実現しました。

近年、大都市部におけるシールドトンネル工事は、用地の取得が困難なことや地下構造物の輻輳化、地表構造物の密集化などにより中間立坑の築造が難しく、長距離化する傾向にあります。長距離のシールドトンネル施工では、カッタービットの耐久性が重要なポイントになりますが、長距離化によってさまざまな土質を掘進する場合、各土質に適したカッタービットに交換することにより、掘削速度が向上し、効率的な施工が可能になります。
従来、カッタービットの交換は、中間立坑内で行うか、シールド機を地盤改良域内で停止させ、シールド機の外部に作業員が出てカッタービットを手作業で交換する方法が一般的でしたが、今後、シールドトンネルの長距離化、大深度化により中間立坑の築造や地表からの地盤改良が難しくなるため、効率的にカッタービットを交換できるシステムの開発が望まれていました。

今回の工事は、東海豪雨(2000年発生)と同程度の豪雨が発生しても浸水被害を最小限にとどめ、雨に強いまちづくりを目指す一環として名古屋市が進めている緊急雨水整備事業「小田井貯留管築造工事(その2)」です。トンネルの全長は、2,390m、内径は4,250oです。
大林組は、三菱重工業と共同開発した「テレスポークビット工法」を、同工事へ初適用しました。従来、手作業でのビット交換には、約1ヶ月程度を要していましたが、今回は、わずか2日で作業を完了しました。

今回行った「テレスポークビット工法」の作業手順は、次のとおりです。
  1. まず、カッタースポークに取り付けてあるカッタービットを、油圧ジャッキによりスポーク内に引き込みます。
  2. 次に、カッタースポーク内のビット用開口部を止水するため、カッタースポーク内に内蔵しているインナーチューブを180°回転させます。
  3. その後、インナーチューブ内に装備しているスライドフレームを交換位置まで引き抜き、機内よりビット交換を行います。
  4. 交換後は、これまでと逆の手順で、カッタービットを戻し、掘進を再開します。

今回、初適用した「テレスポークビット工法」の特長は次のとおりです。
  1. カッタービット交換が迅速にしかも何度でもできます
    機械式のため、ビット交換をするための立坑や地盤改良が不要で、迅速に何度でもカッタービットを交換することができます。

  2. 土質に適したカッタービットの交換が可能なので掘進速度を向上できます
    カッタービットを必要に応じて交換できるので、土質にあったカッタービットに交換することで掘進速度を向上することができ、工期を短縮できます。

  3. 交換時の安全性が向上します
    作業員がシールド機の外部に出ず、しかも大気圧下でカッタービットを交換することができるので、安全に交換作業ができます。

  4. 泥水式、土圧のいずれのシールド機にも適用可能です

今後も、大林組は、「テレスポークビット工法」を、シールドトンネルの長距離化、大深度化対応技術として、積極的に提案し、掘進速度の向上による工期短縮とコスト削減、作業員の安全性向上を実現していきます。

シールドマシン写真

以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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