高架橋道路の橋脚を従来の半分の工期で急速施工し、かつ建設費の縮減も実現する工法を開発

耐震性と耐久性が高いハイブリッド構造の軽量橋脚をハニカム状に接合する「ハイブリッド・ハニカム工法」

プレスリリース

大林組は、都市部などの高架橋道路を対象とした橋脚を、従来の半分程度の工期で施工し、かつ建設費の縮減を実現することができる急速施工法「ハイブリッド・ハニカム工法」を開発しました。鋼管と断面が六角形のプレキャストコンクリートを用いたハイブリッド構造の橋脚を、ハニカム(蜂の巣)状に接合することで、耐震性の向上と、高耐久化、軽量化も実現しています。

交通量の多い都市部では、日常的な交通渋滞が発生しています。これらの交通渋滞は、物流の遅延や市民生活の不便、緊急車両の交通の妨げなどをもたらし、大きな経済的損失となっています。2002年7月14日に閣議決定された都市再生基本方針でも、慢性的な交通渋滞の解消が謳われているとおり、交通渋滞を避けるためには、道路の高架化や、立体交差化が有効です。しかし、道路の高架化や立体交差化のための工事には、従来、広範囲で、かつ長期間の通行止めが必要で、騒音や振動、大気汚染などの周辺環境への悪影響も合わせて、実施が困難な状況にありました。また、既設の高架橋道路は、大部分が改修時期を迎えており、渋滞を避け、短期間で工事を完了することができる急速施工法が望まれています。
大林組は、これらの課題を解決し、従来、最低でも1.5~2年の工事期間を必要としていた立体交差化工事を、3ヶ月の短期間で施工することができる「REFO工法(Rapid & Eco Fly Over)」を開発、実用化し、積極的に提案を行っています。

大林組は、このたび、高架橋道路の橋脚を、従来の半分程度の工期で、かつ建設費を縮減することができる「ハイブリッド・ハニカム工法」を開発しました。部材のプレキャスト化により組立作業が中心で、現場での鉄筋加工や型枠作業などを省略し、施工の省力化を実現しています。鋼管と、六角形の断面の中空プレキャストコンクリート柱を用いたハイブリッド構造は、必要な大きさに合わせて柱どうしをハニカム状に接合することで、耐震性の向上と、高耐久性、軽量化も実現しています。

施工手順は次のとおりです。
  1. 必要な大きさに合わせて複数(2、5、7、11本)の鋼管を設置します。
  2. 工場で遠心成形により製作した六角形のプレキャストコンクリートを、それぞれの鋼管にハニカム状に被せます。
  3. 中空プレキャストコンクリート柱と、鋼管の隙間に、コンクリートを充填します。
  4. 橋脚としての一体性を確保するため、鋼管上部を鋼材で連結します。
  5. 1段の高さは、約10mで、必要な高さに合わせて、1~4の工程を繰り返します。

今回開発した「ハイブリッド・ハニカム工法」の特長は次の通りです。
  1. 工期は、従来の半分以下
    鉄筋加工や型枠組立てなどの現場での加工作業を極力省略し、プレキャスト部材の組立作業を中心にしたことで、施工を著しく簡略化し、省力化を実現しました。また、鋼管内部は中空となるため、その分軽量で、基礎工事量も低減しました。そのため、工期の50%以上の短縮を実現しました。

  2. 建設費の縮減を実現
    施工の省力化と基礎工事量の低減により、建設費も縮減しました。また、鋼管内部は中空となり軽量化が図られるため、基礎工事量の低減も可能となります。

  3. 耐震性が向上
    鋼管を用いているので、せん断耐力とじん性が向上し、耐震性が向上しました。震災時のライフラインとなる高規格幹線道路として、活断層付近の利用が期待できます。

  4. LCCを低減し、かつ構造物への信頼性が向上
    外面は、工場で遠心成形された緻密なプレキャストコンクリートなので、高品質かつ、高耐久化を実現しました。結果としてメンテナンス費用などのライフサイクルコスト(LCC)を低減することができます。また、耐震性の向上と合わせて、構造物への信頼性が向上します。

  5. 幾何学的なデザイン
    六角形のプレキャストコンクリート柱の組合わせにより、断面はハニカム状で、幾何学的なデザインを有しています。

今後、大林組は、活力ある都市活動を確保するための都市再生方策を実現する工法として、短期間で施工することができる「ハイブリッド・ハニカム工法」を、国や自治体向けに積極的に提案します。


■「ハイブリッドハニカム工法」の概要


ハイブリッド・ハニカム工法で施工された橋脚イメージ

ハイブリッド・ハニカム工法による橋脚

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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