大林組は、ダイオキシン類で汚染された土壌を安全かつ安価に環境基準値以下に浄化できる「DCR脱ハロゲン化技術」を導入しました。この技術は、ドイツ・ハノーバー大学のベルジング名誉教授が開発した技術で、独占実施権者の(株)エクセルシアから技術導入したものです。 この「DCR脱ハロゲン化技術」は、常圧・非加熱による化学的処理方法のため、副生成物の発生がなく安全です。また、処理工程が単純かつ設備がコンパクトなので、従来の化学的処理工法や現位置溶融工法に比べて安価な上、プラントの設置場所を選ばず、移動・転用が容易です。処理後の無害化土は「土」として有効利用できます。 近年、工場跡地や焼却施設周辺ならびに廃棄物不法投棄場周辺でダイオキシン汚染土壌が見つかり社会問題化しています。また、港湾や運河などの底質においても、一部地域でダイオキシン類汚染が報道されています。このように、現在、明らかになっているダイオキシン類汚染場所はまだごく一部の地域であり、潜在的な汚染地域は国内に多数存在すると推測されています。そのため、今後、ダイオキシン類汚染土壌の浄化の要請がますます高まってくるものと予想されます。 現状でこれらのダイオキシン類を浄化するには、例えば、焼却炉の中で高温でダイオキシン類を分解するか、あるいは溶融処理するなどの方法が考えられ、一部で実用化も試みられています。しかし、これらの高温焼却や高温溶融方式では、多量に発生する排ガスの問題がありました。排ガスにはダイオキシンが含まれている可能性が指摘されていますが、プラントからの排ガスの監視、とりわけダイオキシン類に関する連続モニタリングが現在の測定技術では難しいのが現状です。そのため、安全性に対する住民の不安が大きく、処理プラントの設置が地域住民に受け入れられにくいという問題がありました。 このたび、大林組が技術導入した「DCR脱ハロゲン化技術」は、常圧・非加熱で化学的にダイオキシン類を無害化処理します。また、加圧や燃焼などのエネルギーが不要なので、環境負荷が少ない工法です。さらに、処理工程が単純かつ設備がコンパクトなので、従来の化学的処理工法や現位置溶融工法に比べて安価な上、プラントの設置場所を選びません。 「DCR脱ハロゲン化技術」は、次のような手順で土壌中に含まれるダイオキシン類を無害化処理します。 (1)前処理 ダイオキシンを分解・無害化する化学反応の妨げとなる水分を取り除き、土壌を単粒子に分散させます。水分を取り除く方法には、土壌の性状によって、生石灰処理する方法(DCR工程(※1))と、熱乾燥する方法があります。 (2)ダイオキシン無害化(脱ハロゲン化)工程 前処理工程で水分を取り除き単粒子に分散した土壌を、さらに微粒子に粉砕し、金属ナトリウムを作用させることで、脱ハロゲン(塩素)化反応を進め、土壌中のダイオキシン類を無害化します。ダイオキシン無害化(脱ハロゲン化)工程にはタワーミル(縦型粉砕機)を用います。 大林組は、この約1年あまりをかけて、同技術の有効性を自社で検証してきました。その結果、ダイオキシン類の濃度が比較的低濃度(数百pg-TEQ/g)から高濃度(2万pg-TEQ/g超)に至るまで広範囲の汚染土壌に対して、高い信頼性のもとに同技術が適用できることを確認しました。 ダイオキシン類濃度に関する環境基準値は、土壌で1,000pg-TEQ/g以下、底質で150pg-TEQ/g以下と定められています。処理前のダイオキシン類濃度が21,000pg-TEQ/gの高濃度汚染土壌を用いて実証試験を行った結果、処理後のダイオキシン類濃度は底質基準の1/3以下(9~51pg-TEQ/g)に処理できました(分解率99.76~99.96%)。 「DCR脱ハロゲン化技術」の特長は以下のとおりです。
以上
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■この件に関するお問い合わせ先 大林組 東京本社 広報室企画課 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟 TEL 03-5769-1014 |
安全かつ安価にダイオキシン類汚染土壌を分解無害化できる技術を導入
常圧・非加熱処理により、副生成物が発生しない化学的浄化技術「DCR脱ハロゲン化技術」
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プレスリリース