表面温度を20℃以上低減する揚水型アスファルト舗装工法を開発

ヒートアイランド現象を緩和する「打ち水ロード」

プレスリリース

大林組と大林道路(株)(本社:東京都墨田区、社長:山岡礼三)は共同で、雨水利用や表層部下面からの自動給水によって連続的かつ経済的にアスファルト舗装を湿潤状態に保ち、水の蒸発冷却による路面温度の低減効果を持続できる揚水型アスファルト舗装工法「打ち水ロード」を開発しました。夏季日中の高温時において、通常の舗装に比べて路面温度を20℃以上低減できます。
「打ち水ロード」は、車道や駐車場、パーキング(サービス)エリアをはじめ、屋外プールサイド、遊歩道など、様々な用途に適用できます。

近年、特に都市部におけるヒートアイランド現象が問題となっています。現在、東京等の大都市部は郊外に比べて気温が約7~8度高くなっており、このままでは2005年夏には最高気温が摂氏40度を超すという予測もあるなど、その対策法が求められています。
ヒートアイランド現象は主に以下の理由から生じます。

1 コンクリート建造物やアスファルト舗装面積の増加
2 高層建造物の増加による(海)風の遮断
3 ビルの空調や車などによる人工排出熱の増加

このうち、アスファルト舗装が占める面積は、都市部の20~25%(平面上)にもおよび、ヒートアイランド現象の緩和に向け、アスファルト舗装の路面温度を下げる技術の開発が求められています。

従来、アスファルト舗装の表層部を雨水や散水で湿潤させ、水の蒸発冷却効果を利用することで路面温度を下げる保水性工法がありましたが、アスファルト舗装の表層部の水分が一旦蒸発してしまう(1~2日程度)と温度低減効果が著しく薄れてしまうという課題がありました。また、路面からの散水は、路面全体に水分を均等に供給することが難しく、路面全体を湿潤させるには最低限必要な量以上の水が必要で、経済的ではないという課題がありました。

今回、大林組と大林道路が共同で開発した、「打ち水ロード」は、雨水利用や表層部下面からの自動給水によってアスファルト舗装を連続的かつ経済的に湿潤状態に保つことができ、砂の毛管現象を利用した水の蒸発冷却効果によって、路面温度を連続的に低減できます。夏季日中の高温時において、通常のアスファルト舗装に比べて路面温度を20℃以上低減できます。
同工法では、開粒度アスコンの隙間に毛管性能の高い砂を充填します。路面には、充填した砂が流出しないように透水性と水蒸気透過性のある特殊なコーティングを施します。さらに、開粒度アスコンの下部には、水分が地盤に浸透してしまうことを防ぐために、密粒度アスコンを施して遮水します。
路面に降った雨水は、従来の保水性工法と同様にアスファルト舗装の空隙部に貯えられます。また、給水は中央分離帯等に設置が想定される点滴方式の配管から行われ、まずその周辺部においては導水シートにより、その先は開粒度アスコン舗装に充填した砂によって水を拡散させます。その後、水は砂の毛管現象により舗装表面に達し、蒸発することで、路面温度を低減します。

給水には、地下貯留槽に貯えた雨水や地下水、下水処理水、工業用水などを利用します。下面からの給水なので蒸発などによるロスがなく、また、給水の制御にはタイマーや雨水センサーを用いるので、適宜、必要最小限の給水を自動的に行えて経済的です。
さらに、開粒度アスコンに充填する砂に白っぽい砂を使用することで、光の反射によって路面温度の上昇を抑制することも期待できます。

今回、大林組と大林道路が共同で開発した、「打ち水ロード」の特長は次のとおりです。
  1. 通常のアスファルト舗装に比べて路面温度を20℃以上低減します
    砂の毛管現象を利用したアスファルト舗装表面からの水の蒸発冷却効果によって、通常のアスファルト舗装に比べて路面温度を夏季日中の高温時において20℃以上低減します。

  2. 従来の保水性工法に比べて経済的かつ連続的に冷却効果を持続できます
    表層部下面からの給水制御にタイマーや雨水センサーを用いることで、適宜、必要最小限の給水を自動的に行え、アスファルト舗装を常に湿潤状態に保てます。結果、水の蒸発冷却効果が持続し、路面を連続的かつ経済的に冷却することが可能です。

  3. 従来の保水性工法に比べて同等程度のコストで施工可能です
    通常のアスファルト舗装に比べると割高ですが、従来の保水性工法に比べて同等程度のコストで施工可能です。

  4. 光の反射による路面温度低減効果も期待できます
    開粒度アスコンに充填する砂に白っぽい砂を使用することで、光の反射によって路面温度の上昇を抑制することも期待できます。

  5. 廃ガラスのリサイクル活用も可能な地球環境にやさしい工法です
    揚水性を有する素材の一つとして、砂以外に廃ガラス等のリサイクル材を利用することも可能であり、地球環境にやさしい工法です。

大林グループは、今後ヒートアイランド現象の緩和に有効な工法として、新屋上緑化システムに加えて、アスファルト路面温度を低減する本工法を、車道や駐車場、パーキングエリア等へ積極的に提案するとともに、そのバリエーションについても開発を進めていきます。

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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大林道路(株) 本店 エンジニアリング部
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