大林組、東京工業大学、旭硝子(株)、住友スリーエム(株)は、ガラスの周囲に粘弾性体を貼り付け、建物に組み込むことにより、地震や強風時に建物の揺れを吸収するダンパーとして機能する「ガラス制振壁」を開発しました。 従来、構造体として使用されなかった「ガラス」を、その長所である透明性、開放性といった意匠性を確保したまま建物に使用できる画期的な「耐震・制振壁」です。 神社仏閣など特有の開放性、外観の維持を求められる伝統木造建築物や、外壁にガラス面を多く用いた美術館、斬新的なデザインが求められるブティックなどに最適な耐震・制振壁です。 近年、歴史的に古い建築物を積極的に保存したり、改修して別の用途に転用していこうという動きが多く、その際、補強工事として耐震・制振補強を行うケースが多くなってきています。しかし、それらの伝統木造建築物は、構造上開放された壁や空間が多く、補強部材を取り付けにくくなっており、さらに文化財的要素が高いため、外観上の問題も考慮して耐震・制振補強しなければなりません。 一方で、最近視覚的に美しいガラス面を多用した美術館やブティックなどが多く建築されるようになってきていますが、視覚だけでなく耐震性といった構造的な強度も求められるようになってきており、外観上の意匠性と構造上の耐震性という二律背反する部分の解決が課題になっています。 通常、建物を設計する場合、ガラスの支持については、建物躯体の変形を直接ガラスに伝えないことによってガラスの破損を防ぐ設計をします。壁面にガラスを用いる場合は、ガラスと周辺の支持構造の間に躯体の変形を吸収するためのクリアランスや緩衝材料を設置してガラスの破損を防止しますが、この場合、ガラス周辺の支持構造を補強しなければならず、補強部材がせっかくのガラスの意匠性を邪魔していました。 今回開発した「ガラス制振壁」は、ガラスの周囲に住友スリーエム社製の粘弾性体(VEM−ISD111 自己接着性があり透明で最大歪み600%以上)を張り付け、建物に組み込むことにより、地震や強風時に建物の変形を吸収するダンパーとして機能します。設計時にはガラスの座屈計算を行い、安全性を確認します。従来、構造体として使用されなかった「ガラス」を敢えて建物補強に使用するというまったく新しい発想の「耐震・制振壁」です。建物の外壁に、視覚的に優れた透明な「ガラス」とエネルギー吸収材として耐震性に優れた「粘弾性体」を組み合わせることにより、外観の意匠性を確保したまま建物の耐震性を高められます。特に日本建築特有の開放性、外観の維持を求められる伝統木造建築物や、国内でも急速に増えてきた外壁にガラス面を多用した美術館、ブティックなど斬新なデザインの建築物の耐震・制振補強に最適です。 「ガラス制振壁」の特長は次のとおりです。
以上
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■この件に関するお問い合わせ先 大林組 東京本社 広報室企画課 東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟 TEL 03-5769-1014 |
建物の透明性、開放性を確保しながら耐震性を高める「ガラス制振壁」を開発
伝統木造建築物やガラス面を多く用いた美術館・ブティックなどに最適です
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プレスリリース