環境に優しく、安全性の高い立体交差を、3ヶ月で施工します

渋滞緩和だけでなく、安全性の向上と低騒音・低振動を実現し、ヒートアイランド現象も抑制します

プレスリリース

大林組は、渋滞緩和だけでなく、騒音と振動を抑え、安全性も向上し、かつヒートアイランド現象を抑制する環境に優しい立体交差橋(道路、踏切り)を、3ヶ月の短期間で急速施工する立体交差化工法を開発しました。工事のための全面通行止めは一晩で済み、バーチャルシミュレーションを用いて工事区間の通行状態を事前に確認することで、工事期間中もスムーズな交通の流れと交通の安全を確保することを目指します。

都市部では、交通量の多い交差点や踏み切りなどで日常的に交通渋滞が発生しています。これらの交通渋滞は、物流の遅延や市民生活の不便、緊急車両の交通の妨げなどをもたらし、大きな経済的損失となっています。渋滞を解消するためには、交差点や踏み切り部分の立体交差化が必要となります。しかし、従来の立体交差化工事は、広範囲な通行止めや最低でも1.5~2年の工事期間を必要とするため、騒音や振動、大気汚染などの周辺環境への悪影響が課題となっていました。また、渋滞解消のための立体交差化工事が更なる渋滞を発生させてしまい、道路利用者や周辺住民に長期間の不便を強いていました。短期間での工事を実現し、かつ立体交差化後も交差点周囲の騒音や振動の低減などの周辺環境へ配慮した立体交差化工法の開発が望まれていました。

大林組は、周辺環境へ配慮した立体交差橋をわずか3ヶ月の短期間で施工する工法「REFO(Rapid & Eco Fly Over)工法」を開発しました。立体交差橋の部材の剛性を高め、新たに開発した多機能防音緑化壁*や排水性舗装*を採用することで、立体交差橋の完成後に発生が予想される騒音や振動を低減し、かつヒートアイランド現象の抑制も実現します。
急速施工は、新たに開発した立体交差橋の延長を5%短縮する設計手法や、高強度横梁(CFT横梁*)の採用、地盤改良や基礎杭を省略する工法の開発などにより、従来最低でも1~2年を要していた期間を3ヶ月に短縮することができました。工事期間中も、工事範囲を立体交差橋部分に留め、全面通行止めは一晩に限定しています。また、工事費は、従来の鋼製の橋桁による立体交差化工事と同等で、メンテナンスフリーを実現したことによりLCCの低減を実現しました。さらにバーチャルシミュレーションシステム「4D−バーチャルツアー」を用いて、各工事段階での周囲への影響や、ドライバーの視認性を事前に検討し、工事区間をスムーズに通り抜けることができるよう、渋滞の緩和と安全の確保、周辺環境負荷の低減を目指します。

今回開発した「REFO工法」の特長は次の通りです。
  1. 工期はわずか3ヶ月
    橋桁とアプローチ部分は、部材のプレキャスト化により組立作業が中心で、現場での作業を極力低減しています。また、CFT柱と梁の採用により、現場での鉄筋加工や型枠作業などを省略し、かつ1柱1杭構造を採用しパイルキャップをなくしたことで、地下部分の工事を大幅に省略しています。アプローチ部分でも地盤改良や基礎杭を省略しているので、わずか3ヶ月の急速施工を実現しました。

  2. 通行止めは1晩だけ
    橋桁は、中央部分だけが鋼製で、両側はプレストレストコンクリート(PC)の複合構造です。既に架設したPC桁の上を、工場製作した鋼製橋桁をスライドさせて、1晩で一括架設するので、通行止めは1晩だけです。その他は構造物占用範囲を除き原則的に車線を規制しませんので渋滞緩和に貢献します。

  3. 騒音、振動を低減
    PCと鋼のハイブリッド構造の橋桁は、大部分がコンクリートなので、鋼製の橋桁より騒音と振動を低減しています。また、道路舗装には、大林道路が開発した排水性舗装(ハイドレーン舗装)を施すことで、通行時の低騒音化を実現しています。さらに、アプローチ部分の壁面には、大林組が開発した多機能防音緑化壁を採用することで周囲の騒音も吸音します。

  4. メンテナンスフリーでLCCを低減
    橋桁のPC部分はメンテナンスフリーです。また、橋桁の鋼製部分には耐候性鋼板を使用し、かつ外装材で覆うことでメンテナンスフリーを実現しているので、LCC(ライフサイクルコスト)を低減しています。

  5. ヒートアイランド現象を抑制
    立体交差橋のアプローチ部分の壁面には、大林組が開発した多機能防音緑化壁を採用しています。また、舗装には、大林道路が開発した排水性舗装(ハイドレーン舗装)を施すことで、ヒートアイランド現象を抑制します。

  6. 建設発生土を削減
    アプローチ部分には、超軽量盛土ブロックを用いることで、地盤改良や基礎杭の省略を実現しました。また、CFT柱と梁の採用により、1柱1杭構造を実現し、パイルキャップをなくすことで、建設発生土の発生を削減します。

  7. 延長を5%短縮し、設置の自由度が向上
    高架橋に中路式構造を採用したことで、従来と比較して立体交差構造物の全延長を約5%短縮(400mの延長で、20mの短縮)しました。立体交差橋の両端付近で接続している他の道路との兼ね合いで、従来設置が難しかった場所でも、設置することが可能となり、設置の自由度が増しました。

  8. 「4D−バーチャルツアー」により工事期間中の渋滞緩和を検討
    工事の段階ごとに、工事による周囲への影響をバーチャルシミュレーションにより検討し、さらに、工事区間通過状況をドライバーの視点から疑似体験することができるので、スムーズな交通の流れを事前に検討することができます。

今後、大林組は、騒音や振動、ヒートアイランド現象を軽減し、LCCや景観にまで配慮した立体交差化の急速施工工法を、国や自治体向けに積極的に提案します。

REFO工法により施工された立体交差橋

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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