土木構造物の地震被害予測システムを開発

GISを利用して広域インフラ施設を一括評価します

プレスリリース

大林組は、地盤や活断層、構造物等のデータを利用して、地表面だけでなく地下の任意の深さにおける地震被害状況を、GIS(地理情報システム)上でシミュレーションすることができるシステムを開発しました。鉄道施設やトンネル、橋梁、上下水道や通信などの地下埋設施設、そして地下街など土木構造物全般に関し被害評価を行います。その結果、耐震補強の優先度の判断、効果的な点検、復旧計画に活用することができます。

大林組は、1995年に、地盤、活断層、歴史地震、建物などのデータを用いてGIS上で、建築構造物の被害予測を行うシミュレーションシステム「Quake Mapper」を開発し、自治体等が行う広域な地震被害アセスメントや既存建物の耐震診断、PML(地震予想最大損失額)評価などに活用してきました。その後、不動産証券化に伴い行われるデューデリジェンス業務に特化したPML評価システムや、建物や構造物の建設地のハザード評価を行い設計に反映させるシステムなどを開発し、さまざまな地震危険度評価を行ってきました。

今回開発した、土木構造物の地震被害予測システムは、GISに地盤や活断層、構造物等のデータを組み込み、任意の想定地震動と評価対象地域を選択することで、地表面だけでなく地下の任意の深さの最大加速度・速度・地盤ひずみの分布や、液状化の危険度、地盤沈下量の分布、構造物の被害度を予測しシミュレーションすることができるシステムです。従来、地表面での被害予測やシミュレーションを行うシステムはありましたが、地下部分が受ける被害状況を予測し、シミュレーションを行うシステムの開発は、今回が初めてです。
予測結果は、地図上に分かりやすく表示されます。事前のリスク評価や耐震補強の優先度の判断に利用できるだけでなく、実際に地震が発生した場合は、観測地震動などを用い地震直後にマクロに被災予測を行うことで、迅速かつ効果的な復旧作業に役立てることも考えられます。

今回開発した土木構造物の地震被害予測システムの特長は次のとおりです。
  1. 各種土木構造物の被害を広域にわたり、評価することができます
    道路や地下鉄、電気・通信・ガス・上下水道などのライフライン施設など、線的・面的な広がりをもつ土木構造物の被害予測を一度に行うことができるので、広域ネットワークとしてのリスク評価や耐震補強優先度の判断に役立ちます。

  2. 地下が受ける被害状況を予測することができます
    地表面の面的な被害状況予測だけでなく、地下部分についても3次元的な被害状況予測を行うことができます。

  3. 液状化や地盤沈下などの被害状況を定量的に評価することができます
    液状化による側方流動量や地盤沈下量を分布表示し、被害状況を定量的に予測することができます。

  4. 任意の地震波と、任意の震源や断層を指定して評価することができます
    実設計で用いられる基盤地震波を含む地震波ライブラリから、任意の地震波を用いることが出来ます。また任意の震源や断層を想定して、各地点の被害状況を予測することができます。

  5. パソコン単体で使用できます
    大規模なワークステーション等を必要とせず、ノートパソコンでも使用可能なため、可搬性に富んでいます。
    必要とされる作業環境はWindowsNT以上です。

大林組は、今後、各自治体等の防災計画立案のために、今回開発した被害予測システムを用いた支援業務を積極的に提案していきます。

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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