コンクリートの耐久性向上を低コストで実現する新型埋設型枠工法を開発

高靭性セメントボードをコンクリートと一体化する「スムースボード工法」

プレスリリース

大林組は、(株)クラレ(本社:東京都中央区、社長:和久井康明)と共同で、従来工法より低コストかつ簡易にコンクリートの耐久性向上を実現する埋設型枠工法「スムースボード工法」を開発しました。埋設型枠材として高靭性セメントボードを使用することで、コンクリートの耐久性を高め、構造物の長寿命化を実現し、維持管理コストを低減します。また、従来の埋設型枠工法に比べて、型枠材料コストおよび施工コストを半分以下に低減します。

現在、コンクリート構造物の建設においては、施工から維持管理、更新までを含めたトータルコスト=ライフサイクルコストを低減することが求められています。また、建設現場においては、作業員の高齢化および熟練工の減少に伴い、工事の省力化および少人化が求められています。
それらを実現する工法の一つとして、コンクリート打設後、型枠を外さずにそのまま埋設することで、コンクリートの耐久性を向上させ、構造物の長寿命化を図るとともに、施工の省力化を実現する埋設型枠工法があります。しかし、従来のプレキャストコンクリート製の埋設型枠材は、高機能である反面、材料コストが高くなるという問題がありました。また、重量が重く、型枠材を設置するために堅固な架台が必要なほか、その架台と鉄筋との取り合いが煩雑になるなど、施工コストがかさむという問題もありました。そのため、ライフサイクルコストの点で、初期コスト(材料・施工コスト)が掛かり過ぎるきらいがありました。

今回、大林組とクラレが共同で開発した「スムースボード工法」は、従来工法より低コストかつ簡易にコンクリートの耐久性向上を実現します。同工法は、高い緻密性、変形性能および曲げ強度を有する高靭性セメントボードを埋設型枠材として用い、コンクリートと一体化させます。
性能に関しては、実際にコンクリートと一体化した供試体で試験を行った結果、温度変化や乾燥によるひび割れを抑制するほか、塩分や炭酸ガスなどの有害物質の浸透を防ぐことを確認しています。また、凍結融解・熱冷繰り返し試験などから、厳しい環境条件でも高い耐久性を確保する結果が出ています。
コンクリートとの接着強度の保持性能については、高靭性セメントボード裏面に適切な処理を施すことで、非常に高くなることを確認しています。そのため、長期の湿潤養生を実現でき、コンクリートの品質を高められます。また、長期にわたって保護機能を持続でき、コンクリートの品質を保つことができます。
高靭性セメントボードは、抄造法(和紙すきとりの原理)で製造するので、大量生産が可能で、材料コストを大幅に低減できます。また、非常に高い緻密性、変形性能および曲げ強度を有するので、厚さを薄くできます(6~9mm)。そのため、軽量化を図れ、持ち運びや設置が容易なほか、穴あけや切断等の加工が現場で簡単にできるので、現場での作業効率が上がり、施工コストも低減できます。

今回、大林組とクラレが共同で開発した「スムースボード工法」の特長は次のとおりです。
  1. コンクリートの耐久性を向上させ、構造物の維持管理費を低減します
    同工法に用いられる高靭性セメントボードは、高い緻密性、変形性能および曲げ強度を有するので、コンクリートの保護材としての機能に優れています。また、コンクリートと高靭性セメントボードとの一体化は長期間保持されるため、コンクリートの耐久性が高まり、構造物の長寿命化を実現します。その結果、コンクリート構造物の維持管理費を低減します。

  2. 大量生産が可能で、材料コストを大幅に低減します
    高靭性セメントボードは、大量生産が可能な抄造法(和紙すきとりの原理)で製造するので、従来の埋設型枠材に比べ、材料コストが大幅に低減します。

  3. 取り扱いが容易で、施工コストを大幅に低減します
    高靭性セメントボードは、高い緻密性を有するほか、高強度ビニロン繊維が混入されているため、非常に高い変形性能および曲げ強度を有します。そのため、厚さを薄くでき、軽量化を図れるので、現場での取り扱いが容易です。結果、省力化および少人化を実現し、施工コストを大幅に低減します。

  4. コンクリート構造物のライフサイクルコストの低減を実現します
    材料費・施工費などの初期コストや維持管理費を低減する結果、コンクリート構造物のライフサイクルコストの低減を実現します。

  5. 均一な性能・仕上りが確保できます
    高靭性セメントボードは工場製品なので、均一な性能(品質)を確保できます。結果、厳しい環境下での施工など、諸条件に左右されることなく、コンクリートの耐久性向上を実現します。また、均一な仕上り(外観)も確保できます。

大林組は、今後、高靭性セメントボードを用いた、コンクリートの耐久性向上を実現する「スムースボード工法」を、コンクリート構造物のライフサイクルコストを低減する工法として、積極的に提案して行きます。

スムースボード工法

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
TEL 03-5769-1014