油汚染土壌を効率的に浄化

混気ジェットポンプを用いた汚染土壌の浄化システムを開発、実用化

プレスリリース

大林組と澁谷工業(本社:石川県金沢市、社長:澁谷弘利)は、油で汚染されている土壌を、攪拌や摩擦、気泡による分離などの複合作用で、高効率な浄化を実現する土壌浄化システムを開発、実用化しました。

近年、石油の油槽所や精製所、ガソリンスタンド跡地などでの石油系炭化水素(ガソリン、重油、軽油、灯油)による土壌汚染が、新たな環境問題となっています。これらを背景とした社会的な要請により土壌汚染対策法が2003年1月に施行される予定で、今後、油で汚染された土壌の浄化需要がますます増加することが見込まれます。より低コストで、かつ短期間での浄化処理が要求されることが予想されます。

今回、大林組と澁谷工業が開発、実用化した混気ジェットを用いた土壌浄化システムは、汚染土と水、空気(気泡)を、管内で、高速に攪拌して管の内壁や管内部に設けた突起物に衝突させることで生じる、水洗いと摩擦の効果、および、混入空気により発生する気泡の分離促進効果を利用した土壌洗浄浄化システムです。従来の洗浄浄化方法に比べ、少ない水の使用量で、短時間で多量の洗浄を行うことができる効率的なシステムです。
混気ジェットポンプの原理は、高圧ポンプから送られた水が、ユニット内部で絞られ流速を急激に増して管内へ送られます。その際、この高圧ジェット水により、管内で負圧が発生し吸引効果が見られます。投入口から投入された汚染土は、空気と共に吸引効果により吸い込まれるように管内に供給されます。管内では、汚染土、水、空気が攪拌されて、管の内壁や突起物との摩擦、洗浄作用により、汚染土から油が剥離されます。その後、水槽に排出された土と油、水の混合水は、土が沈下するとともに、剥離した油は混入空気の気泡により浮上、分離が促進されます。

油汚染土を用いた実証実験では、汚染度1%の油汚染土が、1回の洗浄で0.1%以下まで、2回目の洗浄で0.02%以下まで浄化できたことを確認できました。

今回、開発した混気ジェットを用いた土壌浄化システムの特長は次のとおりです。
  1. 短時間で多量の土壌浄化を実現します
    短時間に多量の油汚染土壌浄化を行うことができます。実証実験で用いた最少サイズのプラントでは、時間あたり30トンの土壌浄化処理量を確認することができました。今後は、さらに大型の装置の製造を計画しています。

  2. 従来より安価な浄化処理を実現
    洗浄に利用する水は、混気ジェットを使用することにより、従来方法より少量ですみます。30トンの土壌を浄化するのに、従来の浄化方法では30m3の水が必要でしたが、今回開発した浄化方法では、10m3の水で十分です。また、浄化のために必要な装置のランニングコストも30%程度のコストダウンが可能なので、安価な浄化処理を実現しています。

  3. 従来の3倍以上の洗浄効果が期待できます
    従来方法と比較した場合、3倍以上の洗浄効果が期待できます。管内部に設けた突起物の本数や突出の長さを調整することにより、汚染土壌の状況に合わせた効率的な浄化を行うことができます。

  4. コンパクトな浄化設備です
    混気ジェットポンプ自体は動力が不要です。そのため、従来の処理装置と比較して、約1/4の設置スペースで済み、非常にコンパクトな設備です。

  5. 重金属汚染にも対応
    今回の実験では、油による汚染土壌で行いましたが、重金属による汚染にも有効と考えており、引続き実験により実証を行う予定です。

今後、大林組と澁谷工業は、今回開発した土壌浄化システムを、油や重金属で汚染された土壌の新しい浄化方法の一つとして、積極的に提案していきます。

実証実験風景

混気ジェット

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
TEL 03-5769-1014

澁谷工業(株) 企画・特許部
TEL 076-262-1495