新しい掘削方法を実現する、長距離施工に適した「3Dカッターシールド」を開発

シールドマシンに取り付けるカッタビットを階段状に配置した新工法です

プレスリリース

大林組と日立建機(株)(本社:東京都文京区、社長:瀬口龍一)は共同で、シールドマシンに取り付けるカッタビットを階段状に配置することで、従来とは異なる新しい掘削方法を実現する「3Dカッターシールド」を開発しました。
従来の30~40%の推力と半分のトルクで掘進が可能なので、シールド装備の軽減とカッタビットの長寿命化によるコスト削減を実現します。

近年、シールド工事においては、都市部の過密化により立坑用地の確保が困難となってきています。また、地下構造物の輻輳化に伴うシールドの大深度化により、立坑費用が増加しています。そこで、立坑の数を減らすために工事の延長が長距離化しており、長距離施工に対する検討・技術開発が進められています。

今回、大林組と日立建機が共同で開発した「3Dカッターシールド」は、シールドマシンに取り付けるカッタビットを階段状に配置することで、従来とは異なる新しい掘削方法を実現します。
従来のシールド工法は、カッタビットを同一平面状に配置し、切羽面をビットの刃先で面的に削り取る工法でした。一方、同工法はカッタビットを階段状に配置して掘削することで、先に掘り進んだ部分の側面と切羽面が階段状=立体的になり、ビットの刃先で切羽面に切り込んでいくことで、せん断破壊を生じさせ、階段状の部分を崩し落としながら掘削を進める工法です。

模擬掘削実験結果から、従来工法と比べて、推進に要する力が30~40%に、また掘削トルクが従来の50~60%に減少するため、シールドに搭載する推進ジャッキやカッター駆動装置の軽減が可能です。また、カッタビットへの負荷も軽減されるため、カッタビットの長寿命化が期待でき、より長い距離をビット交換なしに掘削できます。結果として、コストの削減を実現します。従来工法と同じ掘削トルクの試算では、掘進速度が約2倍に向上するので、大幅な工期の短縮が期待できます。

今回、大林組と日立建機が共同で開発した「3Dカッターシールド」の特長は次のとおりです。
  1. カッタビットの摩耗量を低減します
    せん断破壊を生じさせながら掘削することで、小さな機械負荷での掘削が可能となります。その結果、カッタービット面圧が減少し、カッタビットの摩耗量を低減します。

  2. 推進に要する力や掘削トルクが減少し、シールド装備の軽減が可能です
    同じ掘進速度で比較した場合、推進に要する力や掘削トルクが減少します。そのため、シールドに搭載する推進ジャッキやカッター駆動装置の数の減少が可能で、コストを削減できます。

  3. 掘進速度が向上し、大幅な工期の短縮を可能とします
    同じ掘削トルクで比較した場合、掘進速度が2倍に向上し、大幅な工期の短縮を可能とします。

  4. 産業廃棄物処理量を低減できます
    泥水式シールド工法に適用した場合、削り取られる掘削片のうち、一般土砂として処分できる大片の割合が多くなるため、産業廃棄物処理量を低減し、コストを削減することが可能です。

  5. 長距離施工に適しています
    以上の特長から、従来工法に比べて、より長距離施工に適しています。

大林組は、今後、シールドマシンに取り付けるカッタビットを階段状に配置することで、従来とは異なる新しい掘削方法を実現し、コスト削減を可能とする、長距離掘削に適した「3Dカッターシールド」を、積極的に提案していきます。

以上

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大林組 東京本社 広報室
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