植物が育ちにくい強酸性土壌の斜面を緑化します

「チップクリート緑化工法」を開発、実用化

プレスリリース

大林組は、これまで植生が困難とされていた強酸性土壌斜面を、ランデス(本社、岡山県真庭郡落合町、社長:大月隆行)と共同開発した木片コンクリート板を利用して緑化する斜面緑化工法「チップクリート緑化工法」を共同開発、実用化しました。
日本道路公団発注の「常磐自動車道広野インターチェンジ工事」(福島県双葉郡広野町、2002年3月23日開通予定)の植生不良箇所に初めて適用しました。

近年、環境への配慮や自然的な景観の演出、CO2の吸収促進などの観点から斜面を植物で緑化することが再び注目されています。特に最近の高速道路等の斜面は、外観がコンクリートに覆われるような斜面保護工(コンクリート吹付・コンクリートブロック等)から、緑化可能な斜面保護工へと新しい技術を積極的に採用して、自然に優しい工法を用いた利用者へのサービス向上が進められてきています。しかし、緑化が困難な場所、例えば造成工事に伴い発生する海成堆積層の一部には、硫化物を含む強酸性土壌が出現する場合があります。この土は全国で発生し、様々な対策工法が取られてきましたが、酸性水が継続的に浸み出るような場所に対しては植物の定着率が悪く、効果的な対策工法がありませんでした。

大林組は、さまざまな緑化への要望に対し、ビオトープ、ワイルドフラワー工法、建設発生土の緑化利用技術など環境緑化ニーズに対応した研究・開発を進め、各種用途の工事において豊富な実積がありますが、この度、ランデスと共同で、酸性の水を中和し排水することができる木片コンクリートを開発し、これを斜面に敷設した上に植生基盤を吹付けて緑化を行う酸性斜面緑化工法「チップクリート緑化工法」を開発、実用化しました。植物は、中和された水を利用して養分や水分の少ない土壌でも健全に生育することができます。
2001年10月、「常磐自動車道広野インターチェンジ工事」の植生不良箇所に初めて適用し、その後も良好な経過を確認しています。

今回開発した「チップクリート緑化工法」の特長は、次のとおりです。
  1. 強酸性の土壌を緑化することができます
    従来難しかった強酸性の土壌や強酸性水が湧き出す場所、将来酸性化が予想される場所の緑化を行うことができます。

  2. 施工が簡単で、低コストで緑化することができます
    木片コンクリート板は、空隙の多い木片チップが主体の板なので軽く、人力で簡単に設置でき、特殊な施工機械を必要としません。
    また、ソイルセメント等を吹付ける場合に比べ、プラント設置や溶出試験が不要なので、短期間かつ低コストに施工することができます。

  3. リサイクル資材の有効利用で森林保全に役立ちます
    木片コンクリート板は、木片チップをセメントモルタルでコーティングしたものです。森林伐採や製材所等から発生する木片や破砕材を利用するため、樹林保全や資源保護に役立ちます。

  4. 継続して緑の景観を保持します
    木片コンクリートは、長期にわたり酸性を中和する能力があるため、継続して緑の景観を保持することができます。

  5. 岩盤やコンクリート面も緑化できます
    木片コンクリートは、多孔質な空隙があるので、植物の根が伸長できる空間が確保され、根圏が限定される硬質な面でも緑化ができます。

今後、大林組は、「チップクリート緑化工法」も含め、短期間かつ低コストな緑化により、景観やリサイクル率の向上など自然の循環に配慮した緑の環境創造への貢献を目指します。

施工中(木片コンクリート敷設)

施工後

以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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