建設費と維持管理費を抑えた効率的な最終処分場を実現します

屋根移動式クローズドシステム処分場を開発・実用化

プレスリリース

大林組は、廃棄物処分場を低い区画堤により分割し、埋立て中は屋根と囲いを設け覆うことで雨水の浸入を防ぎ、埋立て完了後はキャッピングを設け安定化に必要な最小限の水を供給することで浸出水を最小限にし、かつ効率的な埋立て管理を実現する屋根移動式クローズドシステムを開発しました。

近年、ダイオキシン等の有害物質を含む浸出水の漏洩による地下水や表流水による汚染問題など、最終処分場をめぐるトラブルが増加し、地域住民は安全性と信頼性に疑問を抱いており、新規の処分場の確保が難しくなってきています。このような状況から、住民の不安を払拭し、地域社会に受け入れられる処分場の必要性が高まっています。一方、処分場の安定化には長期間を要するため、建設費だけでなく、維持管理費を抑えた次世代型の最終処分場の建設が求められています。

屋根移動式クローズドシステム処分場は、処分場内に0.5~5年程度で埋立て完了する範囲を高さ1m程度の区画堤により仕切り、1区画ごとに埋立てを行います。埋立て期間中は、簡易な屋根と囲いで覆うことで雨水の侵入を防ぎ、浸出水の発生を最少にします。埋立て完了後は、雨水浸透を調整できる覆土などのキャッピング処理を行い、次の区画へ屋根を移動し埋立てを行います。
処分場の底面や斜面には大林組が開発した遮水工法(AML工法(※1))を用いることで、浸出水による地下水汚染防止や重機の稼動による破損を防止します。また、浸出水を最小限にすることで、浸出水処理施設の小型化が可能で、維持管理費を低減することができます。埋立て完了後の区画は、覆土等のキャッピング処理を行い、安定化に必要最低限な水分や養分、空気を管理補給することで、各区画ごとに廃棄物の安定化を促進することができます。周囲の環境汚染を防止し、豪雨などの天災に対しても信頼性が高いシステムなので地域住民の安全に対する信頼に応えます。また、管理が容易なので、自治体の維持、管理負担も軽減します。

※1 AML工法
遮水シートの下部にアスファルトコンクリートで遮水層を設けることで遮水性能を強化し、シート上部にはシートを保護するためのアスファルトコンクリートを設けることで強固(鋭角な廃棄物や重機の稼動による破損を防止)で長期間にわたり遮水性能を安定して発揮する遮水工法(環境基準適合)


屋根移動式クローズドシステム処分場の特長は次の通りです。
  1. 地域住民に安心感を与える処分場を実現できます
    底面および斜面には、AML工法を用いて遮水を行うため浸出水の漏洩を防ぎます。また、埋立て原位置を屋根と囲いで覆うことで雨水の侵入を防ぎます。埋立て完了後は覆土やシートにより雨水流入量を調整し、安定化に必要な分だけの水を管理供給するシステムで、浸出水を最少にします。浸出水の発生量が減ることで、水質汚染などの危険性も低減します。

  2. 維持管理費用を抑えることでトータルコストを安くできます
    埋立て原位置は屋根と囲いで覆われ、埋立て完了後の区画は覆土により雨水の浸透を防止するので浸出水の処理量が軽減できます。そのため浸出水処理装置も小型化することができ、将来の処理にかかる費用を低減することが可能で、トータルコストを安くすることができます。

  3. 自治体の管理が容易になります
    豪雨などの降雨変動に影響されにくいので安定した浸出水処理を行うことができます。また、人口降雨により最適な量の水分と空気を供給することにより廃棄物安定化促進が図れ、管理期間が短縮されます。粉塵や臭気対策などの管理も容易になります。

  4. 廃棄物埋立て量を増やすことができます
    埋立て原位置を屋根で覆うことで中間覆土を、従来の1/3程度に縮減できます。さらに、AML工法により遮水シートの保護土も不要となるので、その分の埋立て量を増やすことができます。

大林組では、今後、屋根移動式クローズドシステム処分場を自治体等に積極的に提案し、廃棄物処分場に悩む地域住民の不安を払拭し、自治体の住民に対する同意取得が得やすく、かつ管理が容易となるクリーンで安全な地域融和型の処分場を建設していきます。

以上


■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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