タイル剥落防止工法の耐震安全性を動的実験によって初実証

「インターネット工法」の耐震安全性が動的な評価手法により確認されました

プレスリリース

大林組は、自社開発したタイル剥落防止工法「インターネット工法」(商標登録済)の耐震安全性について、大林組技術研究所ダイナミックス研究センター(東京都清瀬市)内の大型三次元振動台を用いて実験を行い、その耐震安全性が動的な評価手法により確認されました。

建築物の外装タイル張り仕上げは、オフィスビルや集合住宅など幅広い建築物において採用され、年間の施工面積は約3,500万m2といわれています。タイル張り仕上げは、躯体コンクリートにモルタルを接着剤としてタイルを張り付けます。これらのタイルは経年変化によりモルタルとコンクリートの境界で部分的に「浮き」を生じ、タイルの剥落につながる可能性があります。通常は定期的な検査によりこれらの「浮き」を確認し、補修を行うことでタイルの剥落を防ぎますが、根本的な防止策として大林組は平成8年に「インターネット工法」を開発し、普及に努めてきました。「インターネット工法」は、大林組が開発した編織物状の建築材料「インターネット」を使用し、従来の施工方法でも簡単にタイル剥落を防止し、安全性を高めることのできる工法です。
先ごろの芸予地震(平成13年3月24日)では、地震の規模が中程度であったにもかかわらず、構造体の被害よりも、タイルなどの仕上げ部材や設備などの二次部材の被害が際立ち、改めて二次部材における耐震対策の必要性が強く認識されました。

今回行った実験では、実際の建物の1/4程度を想定したRC壁体に「インターネット工法」によるタイル張り仕上げを再現し、技術研究所 ダイナミックス研究センター内の大型三次元振動台を用いて「インターネット工法」の耐震安全性を動的に確認しました。タイル張り仕上げの耐震安全性が動的な評価手法により確認されたのは国内で初めてのことです。

実験の概要は次の通りです。
  1. 実際の建物の1/4程度を想定したボックス型RC壁体の壁面に、在来工法と「インターネット工法」の2種類のタイル張り仕上げを施し、加振実験を行いました。
     
  2. 実験での加速度は、最大で約2,600galです。実際の建物では、阪神大震災規模の揺れに相当します。
     
  3. 実験の地震動において、在来工法によるタイル張り仕上げにはひび割れを生じ、徐々にタイルが剥落しましたが、インターネット工法によるタイル張り仕上げには、タイルの剥落は全くみられませんでした。

「インターネット工法」の特長は次の通りです。
  1. 「インターネット」は基布の両面に2~5mm程度のループ状の立毛部をもつ編織物構造の布です。基布上下のループがモルタルをしっかりと連結し、タイルの剥落を防ぎます。
     
  2. 基布は荒いメッシュ状で、「インターネット」上下の素材間の一体性を妨げません。
     
  3. 「インターネット」は高い耐アルカリ性をもつため、アルカリ性の強いモルタルにも耐え、建物の寿命期間中は効果を持続します。
     
  4. 施工後のタイルを強制的に剥がそうと力を加えた場合、インターネットの基布部分に「浮き」を生じます。しかし、浮きが生じた場合でも、基布上下に立毛したループの接着効果によってタイルの剥落防止必要強度(0.4N/mm2)を保持しているので、落下しません。
     
同工法に使用されている「インターネット」は、大林組が (株)ショックベトン・ジヤパンと東洋紡績(株)と共同で開発した編織物状の建築材料です。タイル張りやモルタル塗り仕上げの下地に使用することで、従来の施工方法でも簡単にタイルの剥落を防止し安全性を高めます。

大林組では、今回耐震安全性を実証した「インターネット工法」を今後も積極的に提案していきます。なお、専用材料「インターネット」の販売や同工法の普及支援は、(株)ショックベトン・ジヤパンにて行っています。

以上


■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
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