自然エネルギーと電力貯蔵用電池を利用した「ハイブリッド電源システム」 を開発・実用化

昼夜の電力需要差の平準化や半導体工場への電力安定供給を実現します

プレスリリース

大林組は、昼夜の電力需要の差が大きい建物には電力需要を平準化し、半導体工場のように安定した電力の供給を必要とする建物には安定して電力を供給することができる「ハイブリッド電源システム」を開発、実用化しました。太陽電池などの分散型電源と夜間に電力を蓄電して昼間に放電する電力貯蔵用電池とを効率的に組み合わせた新しい電源システムです。
現在、ダンロップゴルフコース(兵庫県神戸市)のクラブハウスにおいて太陽光発電(分散型電源)とレドックスフロー電池(電力貯蔵用電池)を組み合わせたシステムによる試験運転を行っており、運用方法の最適化やシステム全体の効率の検証を行っています。

循環型社会形成推進法が成立し環境保護への意識が高まりつつある中で、環境に配慮したコスト節減策として、自然エネルギー等を利用した分散型電源や夜間に電力を蓄え翌日昼間に利用する電力貯蔵システムなどが導入される事があります。
しかし、これらは電気料金を低減できるメリットがある一方で、自然エネルギー利用は 自然の影響を受ける場合が多いため安定した電力供給が難しく、また分散型電源や電力貯蔵用システムから建物に電力を供給する際には、直流を交流に変換しなければならないため、変換によるロスが生じるなどの問題点があります。

今回、大林組が開発した「ハイブリッド電源システム」は、昼間と夜間の電力負荷の差が大きい建物や半導体工場等の安定した電力供給が要求される建物向けに開発されたもので、電力貯蔵用電池と太陽電池等の分散型電源を組み合わせることにより、電気料金を抑えてかつ安定した電力の供給を実現するものです。
建物の電力負荷の少ない深夜に電力会社から購入する電力や分散型電源からの電力を電力貯蔵用電池に貯蔵し、電力負荷の多い翌日の昼間には分散型電源や電力貯蔵用電池から電力を供給します。また、照明や空調機器など直流のまま配電することが可能な機器には、直流のまま配電することにより直流から交流に変換するときに生じるロスを無くすことが可能で、効率的な電力供給が可能で、今後、建物内の直流配電は、コンピュータをはじめ情報機器の電源としても利用増加が予想され、特にデータセンターの電源としての用途も考えられます。さらに、建物の電力負荷を過去のデータによりあらかじめ予測し、最適な蓄電・放電時刻や充放電量を設定し電気料金を抑え、かつ安定した電力供給を行うことができます。
また、建物の地下ピット空間にレドックスフロー電池の電解液タンクを設置するなど、スペースの有効利用も可能となります。

「ハイブリッド電源システム」の特長は次のとおりです

1. 商用電源と太陽光発電などの分散型電源、電力貯蔵電池を最適に組み合わせることで、安定的な電力供給を実現することができます。
 
2. 建物の電力負荷を検討し、最適な配電効率を考慮した蓄電、放電時刻及び充放電量の設定を行うことで電気料金を低く抑えることができます。
 
3. 従来は、分散型電源や電池から一般の電力消費消費機器に電力供給するためには、直流から交流に変換する機器(インバータ)が必要で、変換時に損失が発生していたが、直流給電が可能な照明器具やモーターなどを利用することにより、直流のまま配電することができ、損失の少ない高効率な電力供給が可能となります。今後、コンピュータなどの情報機器など直流配電の可能な機器の増加が見込まれており、高効率な電力供給による省エネが期待できます。
   
4. 商用電力と「ハイブリッド電源システム」の組み合わせにおいて、建物の電力負荷をあらかじめ検討し、配電効率を考慮した配電計画を行い、設計に合理的に反映させることで最適な電力供給システムを構築することだけでなく、最適な機器の配置が可能となります。

今後、大林組では、電気料金の多様化や地球環境への配慮による、企業のコスト節減策として、自然エネルギーを利用した分散型電源、電力貯蔵用電池の利用による最適な電力供給システムの構築を積極的に提案していきます。

以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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