高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」を開発

プレスリリース

  高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」を開発
 
 

 

 (株)大林組は、コンクリートの品質変動の 主要因となっている砂の湿潤状態に全く影響されない計量方法を考案し、 計画された配合どおりに安定した品質のコンクリートを 製造することができる高信頼性コンクリート製造システム 「コンクリート製造名人」を開発しました。

 計画された配合どおりに安定した品質のコンクリートを製造するには、 セメントや混和剤、砂利や砕石(粗骨材)、砂(細骨材)、水といった 各材料を所定量だけ正確に計量することが極めて重要です。
しかし、セメントや混和剤などは単体で、高精度に計量することが容易であるのに対し、 骨材の表面には、通常、水分が付着しているため、骨材及び水を計量する際には、 この表面水の量を勘案する必要があります。 特に砂は、砂利や砕石と比べ、表面に多量の水を含んだ状態で供給され、貯蔵されています。 しかも、この砂の表面水は積み上げられた上下で異なるため 同じ貯蔵施設内にあっても均一ではなく、また表面水の量は時間の経過に伴っても変化するため、 砂の表面水の量を正確に把握することは非常に困難であり、熟練技術者の経験とノウハウで その全体量及び変動を見極めながら水分量を補正しているのが現状です。 砂の表面水を測定するための各種センサも実用化されていますが、骨材の貯蔵状態や 天候の変化などの影響には対応しきれていないのが実状です。 従来、これらの方法では、表面水率を高精度かつリアルタイムに補正することは難しいため、 実用上は予め変動する範囲を想定し,目標とする強度などの性能を得られるように配慮しています。

 今回、大林組が開発した高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」は、 従来の細骨材の表面水率測定を不要とした全く新しい発想の水浸方式による細骨材計量システムで、 常に正確な水量と細骨材量を同時に計量算出することができます。
その計量方法は、容器に入れた水の中に細骨材を投入し、ロードセルで全体の質量を計量し、 変位センサを用いて容積を量り、計測された全体の質量および容積から 両者の密度差を利用して水と砂の計量値を正確に算出するものです。 試料をサンプリングして全体の水分量を補正する従来の方法に比べ、 製造に使用する全ての細骨材を計量するため、各材料を配合どおりに正確に計量することができます。 この方法を用いることで、熟練技術者の経験に頼らなくても、配合どおりの 品質変動の少ないコンクリートを製造することが可能となります。

 今回開発した高信頼性コンクリート製造システム「コンクリート製造名人」の特長は次のとおりです。

  1. 細骨材の表面水率測定が不要な水浸方式による細骨材計量システム。
    細骨材と水を合わせて計測し、全体の質量および容積から両者の密度差を利用して水と砂の計量値を正確に算出します。

  2. 計画どおりにコンクリ−トを配合できます。
    細骨材の表面水率に左右されずに高精度に材料を計量することができるので、 コンクリートの品質変動が少なく、計画どおりのコンクリ−トを製造できます。

  3. 熟練技術者の経験やノウハウを必要としません。
    細骨材の表面水を勘案しながら水の量を微調整するという熟練技術者の経験やノウハウに頼らず、 配合どおりのコンクリートを製造できます。

  4. 細骨材の管理やサンプリングなどが不要となり省力化が図れます。
    水浸させる計量方法のため、サンプリングして細骨材の表面水を計測する 必要がなく、細骨材の管理や補正も不要であり、省力化が図れます。

  5. 既存の製造プラントへの適用も容易です。
    水と細骨材の計量装置を改造し設置するだけで、プラントの大幅な改造が 不要なため、既存の製造プラントへの適用も容易です。

 今回開発した計量システムに加え、セメント、粗骨材、混和剤も自動計量することで、 コンクリートの自動製造プラントも構築可能となります。
今後は、今回開発したシステムにより、合理的な計量と安定した品質確保を提供するため、 コンクリートメーカーなどへ積極的に提案していきます。

 

以上
 
  ■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
TEL 03-5769-1014
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟