日本初、国外の防災システム構築に、当社が開発した地震被害予測 システム「Quake Mapper」が採用されました ~マニラ首都圏の地震防災研究における国際協力~

プレスリリース

 

日本初、国外の防災システム構築に、当社が開発した地震被害予測システム 「Quake Mapper」が採用されました
マニラ首都圏の地震防災研究における国際協力

 
 

 (株)大林組が開発したGISを用いた地震被害予測システム 「Quake Mapper」がマニラ首都圏における地震被害予測の総合化システムとして採用されました。 関東学院大学工学部建築学科の木紀男教授を中心とする日本の研究グループと フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)が共同で1995年から進めてきた マニラ首都圏における地震防災研究において「Quake Mapper」の採用が決定したものです。

 マニラ首都圏があるフィリピン・ルソン島は、日本とフィリピン海プレートでつながり、 日本と同様に地震火山活動が活発な地域です。 島内には1000kmにもおよぶフィリピン断層が通過し、 マニラ首都圏はこれまでにも多くの地震が発生しており、人工の密集と相俟って、 極めて地震危険度の高い地域となっています。
このため文部省の国際共同研究テーマの一つとして、 1995年から、関東学院大学工学部の木紀男教授を中心とした日本の研究グループとフィリピンの国立研究機関である フィリピン火山地震研究所が共同で、「マニラ首都圏のサイスミックマイクロゾーネーションに関する国際共同研究」を 3年間に亘って実施し、土質資料の収集、地盤の震動特性の調査、 地下探査、表層地盤区分などを行い、さらに震源情報や地上部構造物、 人口分布などの情報を収集分析しました。 引き続いて、これらの研究成果を地震防災関連情報として総合化し、 マニラ首都圏における地震の地域別危険度や被害の想定を 総合的に行うことができるシステムを確立するため 1998年から「マニラ首都圏の地震防災関連情報の総合化に関する研究」を実施しています。 これらの研究において、大林組が1998年に開発した「Quake Mapper」が 地域防災関連情報を総合化するシステムとして導入されました。
「Quake Mapper」は、従来の建物被害や液状化などの各種の現象を 個別に解析して行っていた被害予測手法では作業に時間がかかるため、 地震発生直後に短時間で被害の全体像を把握する手段として開発されました。 地盤データ、活断層データ、歴史地震情報、人口の密集状況やライフラインなどのデータを GISに搭載することで、だれでも簡単に震度分布予測、 ライフラインや建物の被害予測が行えます。
今回の導入では、マニラ首都圏の人口密集状況のデータを基本地図として、 これまでの研究成果で得られた常時微動観測や屈折波地下探査、 表層地質区分による地盤データ、歴史的地震分布、断層分布などを「Quake Mapper」に搭載しました。 これにより地震発生時には、震源情報を入力するだけで、誰でも、瞬時に、 マニラ首都圏における地震の地域別被害予測が可能となりました。 この基本的な地域別被害予測に、建物状況や交通、ライフラインの状況を付加することで、 より詳細な地域別被害予測が可能となり、総合的な防災計画が可能となります。


 今回採用された「Quake Mapper」の特長は次のとおりです。

  1. 簡単の操作で瞬時に地震被害を予測できます
    地震発生時には、震源情報を入力するだけで瞬時に広域の地震被害を把握することができ、 的確な初動体制をとるための有効な情報源となります。

  2. リスクマネジメントに有効です
    平常時には、種々の情報の一元的管理に利用でき、耐震診断や防災計画の立案などに役立ちます。

  3. パソコン単体で使用できます
    大規模なワークステーション等を必要とせず、ノートパソコンでも使用可能なため、 可搬性に富んでいます。
    必要とされる作業環境はWindows95以上(WindowsNTも可)です。

  4. ユーザー毎のニーズに対応できます
    ユーザーの保有する既存のデジタルデータを簡単に取り込むことができるため、 既存の情報を活かして、ユーザーのニーズにより促したシステムを容易に作り上げることができます。

  5. 地図基本ソフトは米国Mapinfo社の「Mapinfo Professional」 (日本での販売代理店:三井造船システム技研(株))を使用
    世界的に高いシェアを持ち、汎用性の面で優れた地図基本ソフトを使用しています。 また、詳細な住宅地図や他のアプリケーションソフトなども別途、搭載可能です。

 大林組は、カラカス市(ベネズエラ共和国)を対象に行われている 同様のプロジェクトにも「Quake Mapper」を用いて国際協力を行っています。
今後も、大林組は自治体や顧客に対して「Quake Mapper」を積極的に提案し 防災対策の支援を行うとともに、営業的にも活用していく予定です。
なお、「Quake Mapper」の販売は、株式会社オークエンジニアーズ (TEL 03-5631-7615、06-6258-0288)にて行っています。

以上
 
  ■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
TEL 03-5769-1014
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟