環境配慮設計で建設時及び運用時のCO2排出量を大幅に削減

プレスリリース

  環境配慮設計で建設時及び運用時のCO2排出量を大幅に削減
 
 

建物の実施設計段階でエコ材料の使用、省資源、省エネ技術を積極的に採用する環境配慮設計を施し、 建設から解体までのライフサイクルCO2を1990年当時の標準的な設計と比べ9.2%削減します

 大林組では、従来からエコ材料の使用や省資源、 省エネ技術の積極採用など環境に配慮した設計を実施しています。
今回、1999年4月から9月の6ヶ月間に実施設計が完了した63件の建築物を対象に その環境保全効果を集計したところ、 1990年当時の標準的な設計と比べ、建設時には17,500t、 運用時には毎年4,000t-CO2/年のCO2削減効果があり、 建設から解体に至るライフサイクルCO2の削減率は9.2%になります。
なお、1990年はCOP3で義務づけられた温室効果ガス削減(2010年に6%削減)の基準年であり、 今回の集計結果は1990年当時の標準的な設計による建物と比較しました。

 1997年のCOP3(地球温暖化防止京都会議)議定書において、 わが国は温室効果ガスの排出量を2010年に1990年レベルの6%削減することを義務づけられています。 日本における温室効果ガスの90%以上はCO2であり、 そのうち建設活動に関連して排出されるCO2の量は37%を占めています。 この建設活動に関連して排出されるCO2の量を削減するには、 設計段階からエコ材料の使用や省資源、省エネルギ−対策を施しておくことが重要です。
大林組では1992年に導入した「環境配慮項目チェックリスト」を、1998年に現行の  「環境配慮設計シ−ト」に改訂し、設計段階において採用した多くの環境保全技術を管理してきました。 また、昨年3月のISO14001の全店全組織での認証取得を機に、 実施設計段階での環境保全効果を定量的に把握するため「環境設計デ−タシ−ト」 を合わせて運用してきました。
「環境配慮設計シ−ト」は、基本計画時に建物の規模や構造、 採用予定の主な省資源・省エネ技術などを記載し、更に確定した内容を 実施設計時に追加記載します。また、 「環境設計デ−タシ−ト」は、実施設計時に採用が決定した省資源・省エネ技術などの 保全効果をエコ材料使用量や省エネ技術、躯体削減量、緑化面積の増加など9項目について算出し数値化することで、 効果の定量的な把握を行い、環境配慮設計による環境保全効果の向上に努めるためのシ−トです。

 1999年度上期に実施設計が完了した建築物のうち、小規模工事を除く63物件、延べ床 面積496,000m2の環境配慮設計及びその保全効果は次のとおりです。

  1. 1990年当時の標準的な設計に比べ、ライフサイクルCO2を9.2%削減
    1990年当時の標準的な設計に比べ、エコ材料の使用、省資源、省エネ技術の積極採用 といった環境配慮設計により、 建設から解体までのライフサイクルCO2を9.2%削減します。
    1999年度上期に完了した実施設計63件では、 建設時に17,500t、運用時には毎年4,000t-CO2/年のCO2削減効果があります。 これを年間に換算すると建設時のCO2削減量は35,000t、 運用時は毎年8,000t-CO2/年のCO2削減効果となり、建物の平均寿命を 35年間とすると年平均のCO2削減量は9,000t-CO2/年となります。
    これはCO2を固定する森林に換算すると、 毎年490ha(標準値18.3t−CO2/ha)の森林面積を増やしていくことに相当します。
    なお、今回の集計では地球温暖化防止上、 最も重要視されているCO2削減に寄与する次の各項目について、 全63物件のうち効果の把握できたものを対象としました。

    エコ材料の使用 高炉セメント(10,250m3)、電炉材(8,480t)の使用
    省資源 設計配慮によるコンクリート(8,860m3)、鉄筋(1,490t)、鉄骨(5,240t)の削減
    省エネ 消費エネルギーの削減(98,500,000MJ/年)

  2. 省エネビル総合評価システム「エコナビ」を活用し最適な省エネ手法を採用
    省エネ技術の具体的な採用にあたっては、 大林組が開発した省エネビル総合評価システム「エコナビ」の活用により、 大林組のもつ省エネ手法の中から、最も効果的でコストパフォ−マンスの 高い省エネ手法の組合わせを短期間で検討しました。
    その結果、1999年度上期に完了した実施設計63件で、 1990年当時の標準的な設計に比べ、10.6%の省エネ率 (98,500,000MJ/年)を達成し、年間4,000t-CO2/年を削減できます。

  3. CO2削減の他にも、エコマ−ク商品の採用や緑化面積増加などの環境保全効果を定量的に把握
    (1)エコマ−ク商品の採用
    63件の建物には再生舗装材など内外装材としてエコマ−ク商品を14種類、 54件を採用し、採用量は凡そ24万m2です。
    また雨水浸透型の排水施設など建築・設備の装置にもエコマ−ク商品を5種類、13件採用しました。
    (2)緑化面積の増加
    条例等で定められた必要緑化面積を7,700m2(32.1%) 上回る緑化面積を環境配慮設計により確保しました。
    (3)木製型枠削減
    デッキプレ−トの使用や部材のPC化等により、木製型枠総量を30.9%削減しました。

  4. 「環境設計デ−タシ−ト」を環境会計集計に活用
    この「環境設計デ−タシ−ト」を環境マネジメントシステム(EMS)の一環として 運用することで、昨年度より実施している環境会計の集計にも活用します。

 省資源化・省エネルギ−化などは、環境保全対策としてニ−ズも確実に増えています。 大林組では、環境問題の推移や環境保全技術の進展にあわせ、 環境配慮項目の見直しを適宜行いながら、今後も「環境設計デ−タシ−ト」により 設計段階での環境保全効果を定量的に把握し、より効果の高い環境配慮設計を提案・実施します。
 

以上
 
  ■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
TEL 03-5769-1014
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