超高強度コンクリート充填CFT構造における耐火被覆低減技術を確立し、 超高層オフィスビルに初適用

プレスリリース

  超高強度コンクリート充填CFT構造における耐火被覆低減技術を確立し、 超高層オフィスビルに初適用
 

 大林組は、CFT柱(コンクリート充填鋼管柱)に吹付ける耐火被覆の厚さを、 従来に比べ半減できる技術を確立し、(財)日本建築センターの防火性能評定を取得して、 東京都港区で建設中の(株)電通本社屋建設工事(充填コンクリートの設計基準強度80N/mm2) に初適用します。

 CFT柱は、鋼管柱内に充填されるコンクリートの熱容量が大きいので、 通常の鉄骨柱に比べて優れた耐火性能を有しています。 このため、実験により一定の条件を実証できれば耐火被覆の吹付け厚さを低減することができます。

 大林組では、優れた耐震性能と剛性を有する超高強度コンクリートを充填した CFT構造を次世代の高層オフィスビル等の標準仕様と考え、 圧縮強度が100N/mm2級の超高強度コンクリートを充填したCFT柱で 耐火被覆低減の実証実験を行い、耐火被覆の吹付け厚さを半減しても耐火安全性に問題がないことを 確認しました。
CFT柱の耐火被覆の吹付け厚さを半減することにより、 柱断面のスリム化が可能となりますが、さらに超高強度コンクリートを充填することにより 優れた耐震性能と剛性を併せ持つため、柱の仕上げ寸法をより一層スリム化することが可能となり、 オフィスビルや集合住宅等の有効面積を広げることができます。 また、吹付け材の減量による環境配慮、鉄骨量の削減による省資源の観点からも画期的な技術です。

 CFT構造における耐火被覆低減技術の特徴は次のとおりです。

  1. 100N/mm2級の超高強度コンクリートを充填したCFT柱で防火性能評定を取得。
    従来、耐火被覆低減技術が適用できなかった、 圧縮強度が100N/mm2級の超高強度コンクリートを充填したCFT柱で 耐火被覆低減の実証実験を行い、耐火被覆を半減しても耐火安全性に問題がないことを確認しました。
  2. CFT柱の断面のスリム化が可能。
    CFT柱の耐火被覆の吹付け厚さを半減することにより、 柱断面のスリム化が可能となります。さらに超高強度コンクリートを充填することにより、 柱の耐力と剛性が増し、柱の断面積を 10~20%低減することができます。 これにより、柱の仕上げ寸法を一層スリム化することができ、 オフィスや集合住宅等の有効面積をより広く設計することができます。
  3. 耐火被覆の吹付け材と吹付けの手間を削減できます。
    耐火被覆の吹付け厚さを半減できるため、吹付け材を削減でき、環境にも配慮しています。 また、通常2重、3重にかかる吹付けの手間も減らすことができます。
  4. CFT柱の鉄骨量を低減できます。
    CFT柱に超高強度コンクリートを充填できるため、 従来のコンクリートを充填したCFT柱に比較して、さらに柱の鉄骨量を低減でき、 省資源に貢献します。

 今後大林組は、CFT構造における耐火被覆低減技術の建設大臣認定を取得し、 同技術を高層オフィスビル・集合住宅建設の標準仕様と考え、広く適用していく予定です。

<工事概要>

(株)電通本社屋建設工事
延床面積: 232,224m2
規模:地下 5階、地上 48階、塔屋 1階
構造:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
用途:事務所、店舗、劇場、駐車場、地域冷暖房施設
工期:平成11年10月~平成14年10月
以上
 
  ■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
TEL 03-5769-1014
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟