フィルダム遮水材料の混合に油圧式攪拌機を採用

プレスリリース

フィルダム遮水材料の混合に油圧式攪拌機を採用

 (株)大林組は、ロックフィルダムの遮水材料の混合について、一般にはトンネルや 法面の掘削に使われている油圧式切削機を改良した油圧式攪拌機を利用することにより、 品質の確保を容易にし、コストの削減及び作業効率の向上を実現しました。
長野県小県群東部町に建設中の「金原ダム」と鳥取県日野郡江府町に建設中の「下蚊屋ダム」に適用し良好な結果を得ています。

 ロックフィルダムの遮水材料は、通常、ダム建設現場の近傍で採取される 土質材料を用います。この土質材料は単体で用いることができればよいのですが、 含水比が高い場合や粒度分布が規定の範囲に入らない場合は、土質材料に礫質土や 細粒岩等の材料を混合して所要の品質を確保する方法が取られています。
土質材料と礫や岩の混合方法は、一般に材料を交互に積重ねブルトーザーで 斜めに薄く削りながら混合します(スライスカット)。 混合が不十分な場合にはバケットミキシング(油圧式ショベル掘削機械等により 材料をすくい上げ地面に落下させること)で混合する方法が取られます。 しかし、粘性に富んだ土はこのような方法では均一に混合することが難しく、 所要の品質を確保するために時間と労力が非常にかかっていました。

 今回、大林組では遮水材料の混合用攪拌機として油圧式攪拌機を採用しました。 この油圧式攪拌機は、油圧式切削機を材料の混合に適するように改良した機械です。
油圧式切削機は、油圧式ショベル掘削機のアタッチメント部に、左右対称に 配置された複数の刃(ビット)がついたドラムを装着し、ドラムを回転させて 岩を削り取る機械です。一般的な用途は、トンネルの掘削、法面掘削等に 使用されます。通常、油圧式切削機の刃は5cm前後ですが、今回採用した 油圧式攪拌機は混合に適するように10~15cmの刃を用いています。 油圧式攪伴機のドラムを回転させながら手前に引き寄せるように動かして、 材料を攪拌混合します。
これまでのバケットミキシングに比べ効率良く遮水材料を混合できるので、 品質の確保が容易になり、コストの削減と作業効率の向上が実現しました。

 「油圧式攪拌機によるロックフィルダム遮水材料の混合方法」の特長は 次のとおりです。

  1. 遮水材料の品質の確保が容易になりました。
    一般的に用いられるブルトーザーによるスライスカットやバケットミキシング による混合では、その品質を確保するために非常に時間がかかっていた材料に対し、 油圧式攪伴機を採用することにより効率良く混合でき、 品質の確保が容易になりました。
  2. コストの削減と作業効率の向上が実現しました。
    油圧式攪拌機はバケットミキシングと比較した場合、混合の施工時間を 大幅に短縮でき、コストの削減と作業効率の向上を実現しました。
  3. 混合する遮水材料や現場の諸条件により混合方法を決定します。
    ビットや攪拌機の種類・規格、攪拌回数及び混合方法等については、 現場の諸条件を考慮して決定します。「下蚊屋ダム」建設工事では、 ブルトーザーによるスライスカットと油圧式攪伴機による混合を組み合わせて 行いました。

 今後、大林組では油圧式攪拌機によるロックフィルダム遮水材料の混合方法を 積極的に導入し、ロックフィルダムの品質の確保とコストダウンを実現して行きます。

以上

●「金原ダム」の概要
工事名称 金原川総合開発事業 金原ダム本体工事
所在地 長野県小県群東部町
発注者 長野県
施工者 大林・東急・東信JV
工 期 平成5年12月~平成12年3月
規模等 堤高36.5m 堤体積47万m3

●「下蚊屋ダム」の概要
工事名称 大山山麓開拓建設事業 下蚊屋ダム建設工事
所在地 鳥取県日野郡江府町
発注者 中国四国農政局
施工者 大林・青木・大日本土木JV
工 期 平成6年10月~平成12年3月
規模等 堤高55.5m 堤体積64.7万m3