革新的な高流動コンクリート「ニューロクリートNeo」を開発

ひび割れが発生しにくい高品質なコンクリート構造物を低コストで構築します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、特殊増粘剤と市販の高性能AE減水剤(※1)を用いることで、ひび割れが発生しにくい高品質なコンクリート構造物を低コストで構築できる、革新的な高流動コンクリート「ニューロクリートNeo」を開発しました。

一般的に、普通コンクリートを打ち込む工事では、コンクリートを型枠の隅々まで均質に充填(じゅうてん)するために、建設技能者がバイブレーター(振動機)などを使って締固め作業を行います。一方、高流動コンクリートの場合には材料に高い自己充填性(※2)があることから、締固め作業が不要となり、施工現場における生産性が大幅に向上します。

しかし、従来の高流動コンクリートは、流動性を高めることに伴って発生する骨材などの材料分離を防ぐため、普通コンクリートよりも単位セメント量(1m³に含まれるセメント質量)を大幅に増加させることで材料分離抵抗性を高めており、材料コストが大幅に上がります。また、セメントの水和反応による温度上昇が大きくなり、構造物の耐久性を損なうひび割れが発生しやすくなります。

流動性と単位セメント量から見たニューロクリートNeoの位置付け

流動性と単位セメント量から見たニューロクリートNeoの位置付け

 

大林組は1994年に従来型高流動コンクリートであるニューロクリートを開発していましたが、今回、開発したニューロクリートNeoは、従来の高流動コンクリートに比べて単位セメント量が圧倒的に少ない高流動コンクリートです。

特殊増粘剤

特殊増粘剤

自己充填性を生み出す特殊増粘剤(信越化学工業株式会社製)と市販の高性能AE減水剤を使用することにより、コンクリートの締固め作業を行うことなく、ひび割れが発生しにくい、高品質なコンクリート構造物を低コストで構築することができます。

大林組は国道45号吉浜釜石道路のトンネル工事(発注者:国土交通省東北地方整備局、施工場所:岩手県釜石市)にニューロクリートNeoを適用しており、その性能は確認済みです。

ニューロクリートNeoの特長は以下のとおりです。

  1. 従来に比べ単位セメント量が圧倒的に少なく、ひび割れが発生しにくい

    従来の高流動コンクリートは単位セメント量が多いため、ひび割れが発生しやすいことが欠点でした。

    一方、ニューロクリートNeoにおいては、普通コンクリートに新開発した特殊増粘剤(30~90g/m³)と市販の高性能AE減水剤を添加するだけで自己充填性が生まれることから、従来に比べ単位セメント量が圧倒的に少なくなります。また、ひび割れが発生しにくいことから、高品質なコンクリート構造物の構築が可能となります。

    従来の技術では、土木構造物に広く用いられる普通コンクリートの配合(水セメント比55%、単位セメント量300kg/m³程度)で自己充填性を生み出すことは不可能でしたが、ニューロクリートNeoは同程度の単位セメント量でありながら自己充填性を有しています。

  2. 生産性向上などに伴い、大幅にコストを削減できる

    ニューロクリートNeoは、従来の高流動コンクリートに比べ単位セメント量が圧倒的に少ないことから、材料費を約25~35%削減できます。

    また、普通コンクリートと異なりニューロクリートNeoには自己充填性があり、コンクリート工事における締固め作業が不要になることから、生産性が向上すると同時にコンクリート工事にかかる建設技能者数を約30~50%低減できます。

    バイブレーターによる振動や騒音もなくなるため、施工時の近隣対策としても効果があります。

大林組は、トンネルや橋梁、ボックスカルバートなど、さまざまなコンクリート構造物にニューロクリートNeoを提案することで適用実績の拡大を図るとともに、高品質なコンクリート構造物を低コストで提供することにより、社会の安全・安心に貢献していきます。

国道45号吉浜釜石道路のトンネル

国道45号吉浜釜石道路のトンネル

※1 高性能AE減水剤
コンクリート工事の作業性を改善するために用いる混和剤。セメントを分散させることでコンクリートの流動性が著しく向上する

※2 自己充填性
締固め作業を行わなくても自重のみで型枠内の隅々まで均質に充填する性能。自己充填性を確保するには、高い流動性と材料分離抵抗性(水や骨材などが分離しない性質)を両立する必要があるが、一般的な高流動コンクリートにおいては、材料分離を防ぐために単位セメント量を多くしている

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。