鋼矢板を活用した合成地下壁構築技術「J-WALLⅡ工法」を開発、審査証明取得

省スペース・狭小地でのコストダウンに貢献します

プレスリリース

JFEスチール株式会社(以下 JFE スチール、本社:東京都千代田区、社長:柿木厚司)、株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)およびJFE スチールのグループ会社であるジェコス株式会社(本社:東京都中央区、社長:弓場勉)の3社は共同で、地下壁の施工に際し、仮設土留め壁として利用した特殊な鋼矢板と鉄筋コンクリートを一体化させて本設の合成地下壁を構築する「J-WALLⅡ工法」を開発し、一般財団法人国土技術研究センター(JICE)から、2015年12月3日付で建設技術審査証明を取得しました。

 

「J-WALLⅡ工法」イメージ

「J-WALLⅡ工法」イメージ

 

近年、都市部の各所で再開発が行われていますが、隣接する構造物や敷地など、施工時に用地面積の制約を受けるケースが数多く見受けられます。特に、立体交差やトンネルなど、地下構造物における地下車路アプローチ部のU型擁壁構造部や、既設構造物の耐震化における地下外壁などの工事では、狭あいな土地で必要な幅の地下空間を確保しなければならないというケースが少なくありません。従来は、仮設の土留め壁を構築した後に、別途、本設の地下壁を構築する工法が多く採用されていますが、この場合、仮設と本設の別々の2つの壁を構築する必要があります。

 

そのため、用地境界が設定されている場合には内部空間面積が狭くなってしまい、逆に、内部空間の必要幅が決まっている場合には工事に必要な敷地面積が大きくなってしまうという課題がありました。さらに、上述のような厳しい施工条件のもとでの地下壁構築工事には時間がかかることから、全体工期や工費を圧迫しており、工期短縮やコストダウンを実現する工法が望まれていました。

 

JFE スチールは、これらの課題を解決するため、2008年に、仮設と本設を兼用する合成地下壁構築技術「J-WALL工法」を開発し建築技術性能証明を取得しております。仮設の土留め壁として利用したハット形鋼矢板に、地盤掘削後に頭付きスタッド(びょう)を溶接し、後打ちの鉄筋コンクリートと一体化させることで、本設の合成地下壁を構築する工法です。

 

そして今回、3社は共同で、同工法の改良版「J-WALLⅡ工法」を開発しました。掘削後に溶接する頭付きスタッドの代わりにT形鋼および定着用鉄筋をハット形鋼矢板にあらかじめ溶接した合成構造用鋼矢板「ビートルパイル」を用いることで、従来より掘削後の工程を短縮できることと、さらに鋼矢板と鉄筋コンクリートとの接合強度を高めたことにより壁厚を縮小できるというメリットがあります。

 

ビートルパイル構造図

ビートルパイル構造図

ビートルパイル

ビートルパイル

 

「J-WALLⅡ工法」の特長は以下のとおりです。

 

  1. 敷地の有効利用

    鋼矢板を本設・仮設兼用とすることで、既存工法に比べて必要施工幅および地下壁幅を縮小できるため、限られた敷地内で構造物を最大限の広さに築造でき、敷地を有効利用することが可能です。道路や鉄道など躯体の内空寸法が決められている構造物では、用地幅の縮小が可能です。

    既存工法との比較

    既存工法との比較

     

     

  2. 工期短縮

    鋼矢板を本設・仮設兼用とすることで、地下壁構築の施工数量(外足場組み立て・解体、外型枠組み立て・解体、鉄筋組み立て、コンクリート、側壁部防水工、埋戻し工)が削減できるため、工程が省略でき、工期短縮が可能であるとともに、地下壁の構築費を最大10~15%程度(試算例)削減できます。

     

  3. 一体壁構造

    「ビートルパイル」と後打ち鉄筋コンクリート部とを合成した地下壁で、一体壁構造として高剛性、高耐力を発揮し、薄壁化を実現します。

    「J-WALLⅡ工法」一体壁構造

    「J-WALLⅡ工法」一体壁構造

     

  4. 高い止水性

    通常の鋼矢板と同様の継ぎ手を有するため、継ぎ手部を止水することで、より高い止水性を発揮できます。

     

  5. 近接施工

    通常の鋼矢板と同様の油圧圧入機で施工可能であり、狭あい箇所での施工や近接施工が可能です。

     

3社は今後もお客様のご要望に幅広くお応えすべく、付加価値の高い土木建材商品・工法の開発に努めてまいります。

 

以上

この件に関するお問い合わせ先

JFE スチール 総務部広報室
TEL 03-3597-3166

大林組 CSR室広報部広報第一課
TEL 03-5769-1014

ジェコス 総務部 
TEL 03-3660-0776

プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。